用意するもの
・おりがみ(黄2枚、青2枚、赤2枚)※15 cm 角くらいの画用紙でもOK
・はさみ
・のり
・セロハンテープ

どう見える? だまし絵の世界

近くに新しい美術館ができたって聞いたから来てみた。
海外のたくさんの有名な絵や作品が並んでいる…
ふだん美術館にはあんまり来ないけど、
近くで観てみると、迫力があって意外とおもしろいかも。
その中でも、こんなふしぎな絵が目に留まった。



ん? 左向きに黒い鳥が見えるけど、右向きに白い鳥も飛んでいる。
…どういうことなんだろう?

あの〜ちょっと聞きたいんですけど…

どうしましたか?

この絵、左と右の空間が違うように見えるような…。
うまく説明できないんですけど。

わかります。ふしぎですよね。
これはオランダの画家エッシャーの『昼と夜』という作品で、視点によって見え方が変わる絵なんです。

へぇ〜
あ、左が昼で、右が夜っていうことなのかな。

そう見えますね。エッシャーは現実ではあり得ない空間を描くのが好きでした。
このように人間の目を利用してふしぎな感覚を与える作品は「だまし絵」と呼ばれています。

そうなんだ〜

こんな絵もあります。



何に見えますか?

ん? アヒルの頭?

少し視点を変えて、もう一度見てください。
動物がもう1匹隠れています。

(ジーーーーーーーッ…)
あ!! ウサギ!

見えたようですね。
この絵は、アヒルの頭にも見えるし、ウサギの頭にも見えるんです。



ふしぎ〜!!

次はアートからちょっと離れて…有名な錯覚図形をお見せしましょう。
この赤い2本の線、どちらが長いですか?



下の方が長いね。

本当にそうでしょうか?
補助線をひいてみましょう。



え! 同じ長さ!?

はい、実は同じ長さです。両端についている矢羽の向きによって、見え方がこんなに変わります。目で見た情報を、脳が事実と違うように解釈してしまうんです。それが「錯覚」です。

間違えているのは目じゃなくて脳なんだ!

そうですね。でも錯覚してしまうのは、脳が優秀だからなんです。

どういうこと?

脳は今までの視覚体験から学習をしています。取り入れた情報から自動的に計算し、すばやく答えを出します。そして、体験が増えるにつれて、どんどん処理が上手になっていきます。

上手になっても、だまされちゃうの?

トリックがあるだまし絵などでは、この脳の処理がうまくはたらかず、間違った答えを出してしまうことがあります。まあ…「計算ミス」みたいなものでしょうか。

引っかけ問題にまんまと引っかかっちゃったのか。

そうですね。
ちなみに、錯覚にはいろいろな種類があります。
止まっている画像が動いて見えたり、同じ明るさのものが違って見えたり…。インターネットや本で調べてみるとおもしろいかもしれません。

え〜気になる!
調べてみようっと!

ふふ。興味をもってもらえてうれしいです。
おみやげと言ったらなんですが、家でも簡単に錯覚を体験できる工作メモを差し上げます。

やった〜
学芸員さん、今日はありがとうございました!
家に帰って…

よ〜し! さっそく工作してみるぞ〜
えーと、どれどれ…
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1 黄色いおりがみ1枚を裏返し、以下の手順で折ります。
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2 下図の赤い点線部分を切り取り、ひらきます。
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3 同じ手順で青いおりがみ1枚も切り取り、ひらきます。
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4 赤いおりがみ2枚を好きな形に切り抜きます。
※なるべく大きく切り抜きましょう。 -
5 残っている青と黄色のおりがみに、 4 で切り抜いた赤いおりがみをのせ、のりではりつけます。
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6 その上に、 2 3 で切り抜いたおりがみを、下のような組み合わせでかぶせます。
それぞれ左はじをセロハンテープでとめて完成!

できた〜!!



赤を比べて見てみると…
たしかに少し違うようにも見えるかも。
かべにはって、もう少し離れて見てみよう。



おお〜! すごい!
左の赤はオレンジっぽく見えて、右の赤は青みがかって見える!
離れて見た方が錯覚が起きやすいみたい。
家でも錯覚体験ができて楽しかった〜!
これ、明日学校に持っていって、友だちに見せてみよう。
きっとおどろくだろうな〜
2024.12.3