
どこどこ? バッタのかくれんぼ
朝、学校に行くとき
いつも通り、道を歩いていると…
ピョーン
…何かがとびはねた。
よく見ると緑色のバッタだ!



よ〜し! つかまえよう!
追いかけると、バッタは草むらのおくの方にとんでいった。
着地した場所にそーっと近よってみたけど…
バッタはかくれてしまったのか、すがたが見つからない。
つかまえられなくて、ちょっと残念。
放課後…
帰り道、またピョーンと何かがとびはねた。
見てみると、茶色のバッタだ。
今度こそ! と思い、そーっと近づくとまた草むらの中にとんでいった。
着地した場所に近よると、すぐにバッタを見つけた!
おどろかさないように、そっと手をのばして…


やったー! つかまえた!
しばらく手にのせて観察してみた。

そういえば、朝見たバッタと、形はそっくりだけど色がぜんぜんちがう。
べつの種類かなあ…?
気になるから、虫にくわしい近所のお兄さんに聞いてみようっと!
次の日…

お兄さーん、ちょっと教えて!

ん〜? どうしたの?

あのね、昨日の朝、この茶色のバッタと同じ形の緑色のバッタを見たんだ。
草むらにかくれて、つかまえられなかったんだけど…
べつの種類なの?

どっちもオンブバッタという種類だよ。

え!? 色がぜんぜんちがうのに?

うん。
オンブバッタには、緑色のバッタと茶色のバッタがいるんだよ。

でも、同じ種類なのに、どうして色がちがうの?

えーと、緑色のバッタは見つけられなかったけど、茶色のバッタをすぐに見つけられたのは、なんでかな?

うーんと、茶色のバッタの方が、体が目立ってたからかなあ。

うん、緑色の草の上で茶色い体は目立つよね。
もしバッタを食べる鳥やトカゲが近くにいたら、バッタはどうなるかな?

すぐに見つかって、食べられちゃう〜!

そうだよね。
だから、オンブバッタは、敵に見つからないように、体の色をまわりのけしきにとけこませて、かくれているんだよ。
これを「カモフラージュ」や「隠ぺい色」っていうんだ。

かくれるためなんだ!

たとえば、こんな感じ!


緑色のけしきに、緑色の体だと目立たないね!

そう、緑色のバッタは草の上にかくれることができるんだ。
じゃあ、茶色のバッタはどこにかくれていると思う?

ええと…どこだろう。茶色の草の上?

正解!
かれて茶色になった草や土の上では、こんな風にかくれんぼできるんだ。


本当だ!
自分の体と似た色の場所にいれば、目立たなくて安全なんだね!

そういうこと!

でも、同じオンブバッタなのに、どうやって体の色を変えるの?

いい質問だね。
脱皮をした場所の色が、体の色に影響するといわれているけど、色が決まる条件は、はっきりしていないんだ。

へえ〜、ふしぎだなあ〜

トノサマバッタも、オンブバッタと同じように、緑色と茶色のものがいるよ。



オンブバッタと似ているね!

あとは、そうだなあ…
コバネイナゴも、かくれんぼがうまいね。


すごーい! 背中のもようが草とそっくり!
すっかり草になりきっているね。

他にこんなのもいるよ。
これはイボバッタ。体が地面の色や質感にそっくりだね。

こっちはショウリョウバッタ。見つかるかな?


う〜んと…あ、いた!

バッタにかぎらず、虫たちは鳥などの天敵に見つからないように、カモフラージュをうまく使って暮らしているんだよ。

虫たちもかしこいねえ。
お兄さん、今日はいろいろ教えてくれてありがとうございました!

ぼくも、大好きな虫のことをいろいろ知ってもらえてうれしいよ。
またいつでも聞きにきてね。

うん! 今度は一緒に虫とりに行こうね。
帰り道…
はあ〜お兄さんの話おもしろかった〜。
それにしても、虫たちは毎日かくれんぼしながら生きていてすごいなあ。
ん?…あれは…?


オンブバッタだ!
お母さんが子どもをおんぶしているように見えるけど、体の色がちがう…
ふしぎに思ったから、家に帰って調べてみた。
すると…
オンブバッタが背中に乗せているのは、子どもじゃなかった! なんと2匹は夫婦なんだって!
しかも、下の体が大きい方がメス、上に乗っているのがオス。
帰りに見たのは、茶色と緑色のめずらしいペアだったんだ〜!
2024.12.1