大日本図書の歩み
明治期
1890年(明治23年)3月1日に、それまで文部省が行っていた教科書編纂・出版事業の一切を受け継いで大日本図書がスタートした。
初代社長は佐久間貞一で、大日本印刷の創業者でもある。以降、小学校・中学校教科書を中心にしながら、一般学術書、雑誌の発行など積極的な事業展開を行った。
明治時代の主な発行物には、矢野龍渓著『新社会』、波多野精一著『西洋哲学史要』、雑誌「帝国文学」などがある。
大正期
1923年(大正12年)の関東大震災により本社屋は全焼したが、被災を免れた原本・紙型をもとに直ちに業務を再開するなど、適切機敏な対応で未曾有の災禍を乗り切った。
大正時代の主な発行物には、厨川白村著『近代文学十講』、上野陽一著『心理学通義』などがある。
昭和期
1941年(昭和16年)に公布された国民学校令により、国定教科書の翻刻発行を行うようになった。
そして1945年(昭和20年)、戦災により本社屋を焼失したが、終戦直後の同年9月には仮事務所を設営して業務を再開した。
戦後の1947年(昭和22年)、教育基本法・学校教育法の公布に伴い、文部省著作の翻刻発行に加え、検定教科書の編集・発行を開始した。さらに1962年(昭和37年)には教科書無償措置法が公布され、現在の教科書発行形態となった。


一方、一般書籍では戦後、心理学、化学関係専門書のほか、新たに児童図書分野にも業態を広げて総合的出版社としての道を歩んだ。
1980年(昭和55年)には創立90周年記念出版として『校定・新美南吉全集』を刊行した。
平成期

1990年(平成2年)3月、創立100周年を迎え、社史『大日本図書百年史』を発行、同じく記念出版として『理科教育事典』『日本児童文学大事典』を刊行した。

2008年(平成20年)には、教科書バリアフリー法が成立し、教科書発行者に対して拡大教科書の発行が努力義務となったことに伴い、小学校では2011年度(平成23年度)より、中学校では2012年度(平成24年度)より拡大教科書の発行をしている。
また、マルチメディアの急激な進展に対応して、早くからコンピュータソフトの開発を行い、デジタル教科書をはじめ教育現場に有効な教材提供を行っている。
令和期

2024年(令和6年)には高速動作や多機能ツールの特長を備えたデジタル教科書用ビューア「つばさブック」を開発した。
一方児童書では、2022年(令和4年)に刊行開始した「100ぴきかぞく」シリーズが、2025年(令和7年)にアニメ化した。
