本書の主題である膜は、新しい機能性材料としていろいろの分野で注目されている。仮想された機能を持つ膜が現実につくられていった経緯は、まさに化学の着実な発展を物語るものである。現在、膜に更に高度の機能、例えばエネルギー変換機能や情報の受容・伝達機能などが求められている。生体における膜の働きをまのあたりにみると、これらの希望が決して夢ではないことがわかってくる。膜の機能性についてどのように発想を展開すべきか詳細に検討することによって、これからの膜の進歩の基礎がつくられていくであろう。
【主な内容】
膜とは/合成膜の構造と分離機能/物質輸送・変換における膜の働き/情報処理における膜の働き