近年、体育の授業でアダプテッドスポーツの視点を取り入れる「アダプテッド体育」が注目されています。
今回は、なぜ「アダプテッド体育」が重要視されるようになっているのかを、障がい児の教育や体育を取り巻く環境の変化から考えていきます。
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近年、体育の授業でアダプテッドスポーツの視点を取り入れる「アダプテッド体育」が注目されています。
今回は、なぜ「アダプテッド体育」が重要視されるようになっているのかを、障がい児の教育や体育を取り巻く環境の変化から考えていきます。
2006年に学校教育法が一部改正され、障がいの程度に応じて特別な場で指導を行う「特殊教育」から、児童・生徒一人ひとりのニーズに応じて適切な教育的支援を行う「特別支援教育」への転換が図られました。さらに、2011年の障害者基本法の施行により、可能な限り、障がい児と健常児が共に学べるよう配慮すること、また、学校(特別支援学校・特別支援学級)を選ぶ際には本人や保護者の意向を可能な限り尊重すること等が定められました。
こうした法改正やそれらに伴う教育環境の変化によって、障がい児と健常児がともに学ぶ「インクルーシブ教育」が求められるようになり、特別支援学級に在籍する児童・生徒数は年々増加しています。文部科学省の調査では、特別支援学級に在籍する児童・生徒数は2012年度は約16.4万人でしたが、2023年には約37.2万人と大幅に増加しており、一見すると望ましいインクルーシブ教育が進んでいるように思われますが、授業実施にあたっては様々な課題が生じています。
特別支援学級における障がい児の体育の現状について、金山千広教授(立命館大学)らの調査(2008年)では、障がい児の体育授業の実施形態に関して、「すべて通常学級で行っている」と回答した学校は、小学校で33.2%、中学校で37.5%でした。「一部の子どもは通常学級で実施」等を含めると、過半数が健常児とともに体育を行っており、近年はより障がい児と健常児が一緒に体育を行う合同体育の実施割合が高まっていると考えられます。
このように「インクルーシブ教育」の場が増加していく一方で、教員からは「障がいが多様で(健常児と一緒に)集団種目の実施が難しい」、「種目選択が難しい」、「教材の不足」、「形式的にはインクルーシブだが、(障がい児が)いわゆる『お客さん状態』になってしまう」等の声が挙がっており、教員の指導・支援の困難性が生じています。
以上のようにインクルーシブ教育が進められていくなかで、よりその質を高めていくためには「アダプテッド体育」の発想が重要であると考えられます。インクルーシブ体育では、子どもたちの体力や運動スキル等はより多様となり、必然的に一人ひとりの子どもに合わせた「アダプテッド」な指導・支援が必要となってきます。授業というグループ活動において「個と集団のバランス」を取ることは非常に難しいものですが、「アダプテッド体育」の考え方や実践が広がっていくことで、真の意味での「インクルーシブ教育」に充足されていくのではないでしょうか。