みなさんは「アダプテッドスポーツ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「アダプテッドスポーツ」=「障がい者スポーツ」と説明されることがありますが、「アダプテッドスポーツ」は様々な対象、活動が含まれる多義的な用語となっています。
今回は、その定義や概念の移り変わりについてみていきます。
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みなさんは「アダプテッドスポーツ」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「アダプテッドスポーツ」=「障がい者スポーツ」と説明されることがありますが、「アダプテッドスポーツ」は様々な対象、活動が含まれる多義的な用語となっています。
今回は、その定義や概念の移り変わりについてみていきます。
「アダプテッドスポーツ」という用語は、1997年に名古屋大学の矢部京之助教授(当時)が提唱し、次のように説明されています。
スポーツのルールや用具を障害の種類や程度に適合(adapt)させることによって、障害をもつ人はもちろんのこと、幼児から高齢者、体力の低い人であってもスポーツに参加することが可能になるのです。~(中略)障害をもつ人のスポーツを総称して「アダプテッド・スポーツ=Adapted Sports」と呼びます。
この「アダプテッドスポーツ」という言葉は、英語圏で1970年ころから提唱されていた「アダプテッド・フィジカル・アクティビティ(Adapted Physical Activity、以下「APA」)」から着想を得たものであり、1994年のデポー博士とシェリル博士によると、「APA」は以下のような実践および理論であるとされています。
すべての人々のスポーツ、レジャー、リハビリテーション等の身体活動を保障していくための理論的・理念的枠組
以上の「APA」は障がい児・者に限定されたものではなく、すべての人々の体育・スポーツ、レジャー等へのアクセスを実現していくための理論ならび活動そのものを指します。
これらの議論をもとに考えていくと、「アダプテッドスポーツ」は「APA」よりもさらに対象が限定的(「障がい児・者」中心)になっていると同時に、「スポーツのルールや用具を障害の種類や程度に適合(adapt)させる」とある通り、より実践的な運動・スポーツが想定されています。
日本において、「アダプテッドスポーツ≒障がい者スポーツ」という理解が一定程度なされているのは、このように「APA」をより狭義に解釈した影響が大きいものと考えられますが、近年、様々な実践や研究が蓄積される中で、障がい児・者に限定されるものではなく、運動やスポーツへのアクセスに制約のある人々全般を対象とするものとして理解がなされています。つまり、「アダプテッドスポーツ」とは、広い意味で捉えれば、それぞれの人の状況に合わせてルールや用具等を改変、もしくは新たに考案して行うスポーツ活動と、その活動を実現するための理論、指導・支援法であるといえるでしょう。
「APA」と「アダプテッドスポーツ」の関係性については下図※を参照してください。
また、「アダプテッドスポーツ」に関連する用語として、「障がい者スポーツ」がありますが、前述のとおり、「アダプテッドスポーツ」の対象は障がい児・者に限定されるものではありません。そのため、「障がい者スポーツ」は「アダプテッドスポーツ」の枠組みの中に含まれるものと理解できます。
「アダプテッドスポーツ」と関連用語との関係性については下図※を参照してください。
以上、「アダプテッドスポーツ」の定義についてみてきましたが、次回は、近年、なぜ「アダプテッドスポーツ」が注目されているのか、学校体育や障がい児・者のスポーツの現状に触れながら、その背景について考えていきたいと思います。