教科書いまむかし
教科書紹介 中学校理科編
6平成10年(1998年)
学習指導要領 基礎・基本を確実に身に付けさせ、
自ら学び自ら考える力などの「生きる力」の育成
平成10年、完全学校週5日制のもと、ゆとりのなかで各学校が特色ある教育を展開し、生徒に豊かな人間性や自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成することをねらいとして、学習指導要領が改訂されました。また、このときの改訂では、横断的・総合的な指導を推進する「総合的な学習の時間」が新設されました。
中学校では、内容が厳選され、第1分野・第2分野ともに、一部の内容が削除、または高等学校へ移行になりました。また、問題解決能力の育成を目指して、野外活動を一層充実させるとともに、生徒自身が観察や実験のしかたを工夫するなどして課題解決のために探究する活動を行うことになりました。
このときの改訂では、課題選択が導入され、第1分野「科学技術と人間」または第2分野「自然と人間」のいずれかを選択できるようになり、生徒の興味・関心に基づく学習の充実が図られました。
これに合わせて、大日本図書では、平成14年に『中学校理科』を発行しました。その後、平成15年12月の学習指導要領の一部改訂により、学習指導要領に示していない内容(発展的な学習)を加えて指導することができるようになりました。大日本図書では、平成18年版から発展的な学習内容が取り入れられています。
ここでは平成14年版『中学校理科』を紹介します。
国立教育政策研究所
「学習指導要領データベース」
平成14年(2002年)版 中学校理科 1分野上〜2分野下
B5判、第1分野と第2分野の構成で、それぞれ上下巻に分かれています。また、すべてがカラーページになり、写真やイラストが見やすくなっています。
この学習指導要領では学習順序が指定されており、1分野では物理領域から学習が始まる構成になりました。2分野では「大地の変化」が上巻に、「地球と宇宙」が下巻に入れ替わりました。
また、1分野下巻「科学技術と人間の生活」と2分野下巻「自然環境と人間生活」は、どちらかを選んで学習する内容になりました。
1節 光の性質|1分野上「1章 光や音、力でみる世界」p.1〜p.5
この章では、身のまわりにある物理現象から光、音、力と圧力をとり上げています。これらは直接体験可能な現象が多く、実験を主体とした展開により、自然を調べる能力や態度の育成を目指しています。
「光の性質」では、身近なところで見られる現象を導入とし、意欲的に学習できるようにしています。実験から、光の反射、屈折、凸レンズの性質を見いだし、日常生活での利用例を学ぶことができます。
2節 科学技術とわたしたちのくらし|1分野下「7章 科学技術と人間の生活」p.76〜p.79
この1分野7章2節「科学技術とわたしたちのくらし」と、2分野7章3節「自然環境と人間の生活」については、生徒の興味関心に応じて、どちらかを選択できるようになっています。
また、この章は、物質とエネルギーについての学習で身につけた知識・理解や課題解決の方法を生かして、エネルギー資源の利用と環境の保全、科学技術の発展と人間生活の変化について認識を深めることをねらいとしています。
1節 地層と化石|2分野上「2章 大地の変化」p.39〜p.43
この章では、「地層と化石→火山→地震」の順に学習を進めます。
地層をはじめに学習するのは、野外観察を通して大地の変化について興味や関心を高めるとともに、自然観察の方法を身につけることで、探究する意欲をもって課題を解決する方法を習得する機会となるからです。また、当時の小学校では火山と地震は選択項目になっており、生徒はどちらか1つしか学習していないため、すべての生徒が学習している地層を本章の導入としています。
1節 生物のからだを形づくるもの|2分野下「5章 細胞と生物のふえ方」p.25〜p.28
この章では、小学校から中学校2年までの学習をもとにして、植物と動物を総合的にとらえ、細胞レベルで見た生物の多様性と共通性、生命の連続性について理解を図ることがねらいとなっています。
平成18年版 新版 中学校理科 1分野上〜2分野下
中学校理科の教科書の変遷