教科書いまむかし
教科書紹介 中学校保健体育編
2昭和33年(1958年)
学習指導要領系統的な学習の重視
昭和22年の「学校体育指導要綱」において「体育科」として小中学校保健体育の学習内容が示されました。「保健体育科」に改称されたのは昭和24年のことです。このとき、中学校では「保健」の授業の存在が明確に規定されていましたが、小学校ではまだ保健の教科書も存在しておらず、体育の準教科書に保健の内容が掲載されていました。
この頃日本では国民病といわれた、結核・トラコーマ・寄生虫病が蔓延していたため、その予防として、心身の清潔・衣食住の衛生・皮膚の摩擦などが学習内容として示されていました。
昭和33年の学習指導要領では、保健体育では基礎学力向上の流れの中、小学校での保健の学習が5・6年のみとなり、学習内容が精選されました。体育領域でも、問題解決学習が中心の学習から、基礎的運動能力の育成、体力作りが目標となりました。
中学校の保健体育では、保健と体育の関連をいっそう緊密にすることで学習効果を高めるよう図られました。また、伝染病・寄生虫病の予防の観点から「病気の予防」が大きく扱われました。保健体育独自の内容として、環境や栄養に関わる健康の内容も試みられています。
大日本図書では、この改訂から中学校保健体育の教科書を刊行しています。
昭和37年に『中学校保健体育』を発行し、その後、昭和41、44年に改訂しています。
ここでは、昭和37年発行の『中学校 保健体育』を紹介します。
国立教育政策研究所
「学習指導要領データベース」
昭和37年(1962年)版 中学校 保健体育
体育編は全学年で、保健編は2・3年で行うこととなっています。
保健と体育の関連を緊密にするよう構成されています。
体育と保健の緊密な関連
体育編、保健編両方で、互いについて関連した内容が扱われています。
病気とその予防
伝染病および寄生虫病をはじめ、全部で40の病気について、原因と症状、予防についての情報が紹介されています。
飲料水について
当時、全国の家庭の約60%は井戸水を使用していたため、「悪い井戸」と「よい井戸」の特徴について述べられています。
人工呼吸法
人工呼吸法として、ニールセン法が紹介されています。
昭和41年(1966年)版 新版 中学校保健体育
昭和44年(1969年)版 新訂版 中学校保健体育
中学校保健体育の教科書の変遷