教科書いまむかし
教科書紹介 中学校数学編
1昭和22年(1947年)
学習指導要領(試案)生活単元学習
戦後の新しい教育制度のもとで、昭和22年に初代学習指導要領(試案)が告示されました。『日常の数学』(昭和25年)は、大日本図書が民間企業として発行した最初の中学校数学教科書です。昭和26年の学習指導要領新訂を受けて、昭和27年には新訂版を発行しています。
生活経験のなかから数学の学習を展開するというスタイルで、「生活単元学習」といわれています。
ここでは、昭和27年発行の『日常の数学 新訂版』を紹介します。
国立教育政策研究所
「学習指導要領データベース」
昭和26年(1951年)版 日常の数学 1-1〜3-2
昭和27年(1952年)版 日常の数学 新訂版 1-上〜3-下
各学年とも上、下2分冊となっています。
目次を見ると、生活単元学習と呼ばれるだけあって、日常生活に密着した単元名が並んでいます。
私の1日|日常の数学 新訂版 1-上
単元1「私たちの学校」です。この単元を指導するに当たって、当時の教師用指導書では、次のように述べられています。
「新しい学校生活にはいり、いままでより高度の社会生活をするようになったときを契機として、社会人としての教養を積み、新しい心構えで社会生活をより一層有意義なものとしていくことは大切なことである。子どもたちの新しい学校生活に対する深い関心をできるだけ生かし、お互いに協力してよりよい学校生活を営もうとする意欲を十分に活用してこの単元を展開していきたい。」
第1章「私の1日」を見ていきましょう。
「私の1日」では、一日の生活と、そのなかに含まれる学校生活との関連を問題として、正しい日課表を作ることを中心に学習が進められています。
なお、単元1は2章構成で、2章「私たちの学校」では、学校の記章と図面を中心として、学校のようすを知るための学習をします。
計算練習|日常の数学 新訂版 1-上
章の終わりには、計算練習やテストのページがあります。この教科書の「使い方」には、計算練習のページについて次のように書かれています。
「計算練習は、その単元で学習したことを計算の程度に従って単元1から順にならべてあります。計算練習をしたときには、それをした日、全部やるのにかかった時間、正しくできた数を適当な表にまとめて整理しておきましょう。そして、なるべく速く、全部できるようになるまで練習しなさい。」
とても具体的な指示ですね。なお、テストの答えは巻末にあります。
この単元で学習したこと|日常の数学 新訂版 1-上
単元の終わりにあるページです。このページの最後に「参考書」という項目があります。これについては次のような説明があります。
「その単元での学習に参考となる書物やさらに進んで学習をするための参考になる書物の名前があげてあります。できるだけ、それらの書物を利用しましょう。」
昭和28年(1953年)版 中学の数学 1上〜3下
昭和30年(1955年)版 中学新数学 1〜3
昭和33年(1958年)版 新編 数学 1〜3
中学校数学の教科書の変遷