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ケルビン卿
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温度の単位ケルビンは,イギリスの物理学者ケルビン卿ウィリアム・トムソン(1824年〜1907年)に因んでつけられました。
トムソンは,熱力学,電磁気学,地質学などさまざまな分野で業績を上げた科学者です。中でも,「吸収した熱をすべて仕事に変えることはできない」という熱力学第二法則(トムソンの原理)の発見で知られています。
また,1848年,絶対零度を -273 ℃ とした絶対温度目盛りを導入しました。
こうした業績から,1892年にケルビン男爵の爵位が与えられました。
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ボルツマン定数
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2019年5月20日から,K はボルツマン定数を用いて定義されるようになりました。
ボルツマン定数は,オーストリアの物理学者ルートヴィッヒ・ボルツマン(1844年〜1906年)に因んだ定数です。
ボルツマンは,1877年,エントロピー S は系の取りうる状態の数 W の対数に比例するというボルツマンの関係式を見出しました。
S=klnWこの k が,ボルツマン定数です。
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0 K ってどのくらい?
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0 K=−273.15 ℃。絶対零度という温度の下限値です。物質を構成する原子の熱運動がなくなった状態にあたります。
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273.16 って何のこと?
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絶対零度 0 K は −273.15 ℃ですから,水の凝固点の 1273.15 となっていればいいと思った人もいるでしょう。
しかし,水の凝固点が 0 ℃なのは圧力が 1013 hPa(ヘクトパスカル)のときだけで,圧力によって凝固点は変化します。
圧力と温度を変化させたときの水の状態変化は,次のようになります。凝固点や沸点とはちがい,固体,液体,気体の三態が同時に存在できる温度である三重点は,決まった値になります。そこで,一意に定まる三重点を基準にして定義しているのです。
水の三重点は,611.654 771 007 894 Pa のときに0.01 ℃です。これを基準にしたので,273.15+0.01=273.16 となったのです。