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ジェームズ・プレスコット・ジュール
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仕事の単位ジュールは,イギリスの科学者ジェームズ・プレスコット・ジュール(1818年〜1889年)に因んだものです。
ジュールは,実験技術に優れた物理学者で,熱の仕事当量(1 cal(カロリー)の熱量に相当する仕事の量)をさまざまな実験によって正確に測定した最初の科学者として知られています。
この業績がエネルギー保存則の確立に大きく貢献したことから,仕事・エネルギーの単位に彼の名がつけられたのです。
(by Henry Roscoe [Public domain])
(by Henry Roscoe [Public domain])
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1 J ってどのくらい?
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単1のマンガン乾電池を 1 m 持ち上げる仕事が 1 J です。
単1のマンガン乾電池の質量は 102.0 g(富士通 黒 R20PUC の場合)。この電池を 1 m 持ち上げる仕事 W は,電池を支えるのに必要な力を F,重力加速度を g とすると,次のように求められます。W=Fx=mg⋅x=102.0×10−3kg×9.80665m/s2×1m=1.0002783Jなお,アルカリ乾電池の場合,単1乾電池の質量はおよそ 130 g で,1 m 持ち上げる仕事も 1.3 J ほどになります。
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1 J の電気料金
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電気料金は,電力量 kWh (キロワット時)に基づいて支払います。
例えば,260 kWh の 電気料金は 6,015円だそうです(関西電力の従量電灯Aの場合。2017年8月現在)。
この数値から,1 J あたりの電気料金を求めてみましょう。 まず,kWh を J に直します。260kWh=260×103W×(60×60)s=936000000Jよって,1 J の電気料金は,
6015÷936000000=0.000006426
およそ 15万分の1 円になります。さて,先ほど持ち上げた単1のマンガン乾電池は,1.5 V で 100 mA の電流を約 60 時間連続放電できます。
この数値から,単1形マンガン乾電池の電気容量 Q は,次のように求められます。Q=It=100mA×60h=100×10−3A×60×(60×60)s=21600C電圧が 1.5 Vなので,この電池の持つエネルギー W は,次のように求められます。W=QV=21600C×1.5V=32400Jこの電池は4個パックが 320 円ほどで販売されていますから,1 J あたりの価格は,
320÷4÷32400=0.002469
およそ 400分の1 円になります。
電池はコンセントなしに電気製品を動かすことができる便利な道具ですが,その便利さに 380倍ほどのコストを払っているのですね。