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アレッサンドロ・ボルタ
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電圧の単位ボルトは,イタリアの物理学者アレッサンドロ・ボルタ(1745年〜1827年)の名前からつけられました。
ボルタは,1799年に発明した電池『ボルタの電堆』で知られる科学者です。
ボルタの電堆というのは,2種類の金属(亜鉛と銅など)の板の間に食塩水を浸した布や紙をはさんだだけの簡単な構造の電池です。
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1 V ってどのくらい?
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銅と亜鉛でつくった ダニエル電池 の起電力が,およそ 1 V です。
ダニエル電池は,1836年にイギリスの化学者ジョン・フレデリック・ダニエルによって発明された電池です。−極(負極)側に硫酸亜鉛水溶液に浸した亜鉛板,+極(正極)側に硫酸銅(Ⅱ)水溶液に浸した銅板を用いて,それぞれを素焼き板で仕切ったつくりの電池です。
−極では,亜鉛 Zn が電子を放出し,亜鉛イオン Zn2+ となって溶け出します。−極:Zn⟶Zn2++2e−+極:Cu2++2e−⟶Cu
亜鉛の標準電極電位は −0.76 V,銅の標準電極電位は +0.34 V なので,この電池の起電力 V は,次のように求まります。V=+0.34V−(−0.76V)=1.10V
なお,銅と亜鉛でつくったボルタ電池(2018年5月7日現在,中学校3年の理科で学習する電池)の場合は,−極の反応はダニエル電池と同じですが,+極では水素イオンが電子を受け取るため,起電力は 0.76 V になります。