電流:アンペア/Ampere/SI基本 電流:アンペア/Ampere/SI基本

国際単位系における定義:

電気素量 $e$ を 1.602176634×10$^{-19}$ C(A•sに等しい)と定めることによって設定される電流の単位

古い定義:

真空中に $1\,$$\text{m}$ の間隔で平行に置かれた,無限に小さい円形断面積を有する,無限に長い2本の直線状導体のそれぞれに流し続けたときに,これらの導体の長さ $1\,\text{m}$ ごとに $2\times10^{-7}$ $\text{N}$ の力を及ぼし合う一定の電流

さらに古い定義:

硝酸銀水溶液中を通過する電気が $1\,\text{s}$ 当たり $0.001\,118\,000\,\text{g}$ の銀を析出させる電流

アンドレ=マリ・アンペール

電流の単位アンペアは,フランスの物理学者アンドレ=マリ・アンペール(1775年〜1836年)に因んでつけられました。

アンドレ=マリ・アンペール

アンペールは,1820年,電流とそのまわりにできる磁界の関係をあらわすアンペールの法則を発見しました。

中学校理科で学習する,電流がつくる磁界の向きの関係を見いだしたのもアンペールです。

アンドレ=マリ・アンペール
電気素量

2019年5月20日より,アンペアは電気素量によって定義されることになりました。

電気素量とは,陽子1個の電荷に等しい電気量のことです。陽子と電子の電荷の絶対値は等しいので,電子1個の電荷の符号を逆にした電気量ということもできます。


電気量 $Q$ は,電流 $I$ と時間 $t$ を使って次のように表せます。

$Q = I t \qquad \Leftrightarrow \qquad I = \cfrac{Q}{t}$

電気素量の大きさが,1.602176634×10$^{-19}$ C(クーロン) と定められたので,1 A は,1 秒間に電気素量の $\cfrac{1}{1.602176634×10^{-19}}$ 倍の電荷が流れる電流になります。

$0.001118000\text{ g}$ って何のこと?
さらに古い定義にあった硝酸銀水溶液の電気分解によって析出する銀の質量が $0.001118000\text{ g}$ とは,どういうことでしょうか。
硝酸銀水溶液の電気分解による銀の析出は,次のように表せます。
$$\text{Ag}^++\text{e}^−\longrightarrow\text{ Ag}$$
$0.001118000\text{ g}$ の銀の物質量は,銀の原子量が$107.9$なので$\dfrac{0.001118000}{107.9}$ $\text{mol}$になります。反応式より,流れた電子の物質量も$\dfrac{0.001118000}{107.9}\text{ mol}$ であることがわかります。
この分数で分子を $1$ にすると,$\dfrac{0.001118000 ÷ 0.001118000}{107.9 ÷ 0.001118000} = \dfrac{1}{96511}$ となります。$1\text{ mol}$ の電子の物質量であるファラデー定数 $F = 96500\text{ C/mol}$ が現れました。
$1\text{ A}$ ってどのくらい?
50インチの液晶テレビに流れる電流が,およそ $1\text{ A}$ です。

イメージ画像:50インチの液晶テレビ

電力 $P$ は電圧 $V$ と電流 $I$ の積で表されます$(P = VI)$。50インチの液晶テレビの消費電力が 105 $\text{W}$ というとき,電流 $I$ は次のように求められます。
$$I = \dfrac{P}{V} = \dfrac{105}{100} = 1.05\,\text{A}$$
イメージ画像:50インチの液晶テレビ