教科書いまむかし
教科書紹介 小学校生活科編
7平成20年(2008年)
学習指導要領「生きる力」の育成、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成のバランス
平成20年の学習指導要領改訂では、以下の5点が改訂のポイントとして示されています。
- ◦気付きの明確化と気付きの質を高める学習活動の充実
- ◦伝え合い交流する活動の充実
- ◦自然の不思議さや面白さを実感する指導の充実
- ◦安全教育や生命に関する教育の充実
- ◦幼児教育及び他教科との接続(スタートカリキュラム)
大日本図書では上巻の「なかよし」を引き継ぎ、下巻を新しく「はっけん」というタイトルで、平成23年と平成27年に教科書を発行しています。子どもが身近な人や自然と「なかよし」になったうえで、さらに対象への新たな発見、豊かな認識、知的で質の高い気付きを獲得していってほしいという願いがこめられています。
国立教育政策研究所
「学習指導要領データベース」
平成23年(2011年)版 たのしい せいかつ
従来B5版だった教科書のサイズがAB版になりました。
タイトルに即し、上巻では「○○なかよし」、下巻では「○○はっけん」という大単元で構成されています。
また、図鑑部分が非常に充実し、「がくしゅうどうぐばこ」というタイトルで、全26見開きに渡って学習に役立つ資料を掲載しています。


あきと なかよし
B5判からAB判に大きくなった誌面を活かすために、大単元ごとに見開きで子どもたちの写真を掲載しています。
この「あきと なかよし」のページでは、子どもの秋の活動に向けての気持ちを高めるだけでなく、夏の様子と比べてみることで、季節が変化したことを感じるきっかけにするというねらいがあります。
セミの 一生・カブトムシの 一生
セミとカブトムシの一生を紹介しているページです。セミとカブトムシは、夏休みの昆虫として見かけることが多い虫です。卵から成虫になるまでの変化の様子を通して、生き物への親しみを感じることができます。
昆虫の育ち方に関しては生活科の学習指導要領に示されていない内容ですが、理解の進んでいる子どもが気付きと理解をより深めることができるよう、発展的な学習内容として、ここを含めて10箇所取りあげています。該当箇所には天使のキャラクター(ハナコ)が登場しています。
平成27年(2015年)版 新版 たのしい せいかつ
平成27年度から使用されている教科書です。平成23年度版の内容を踏襲しつつ、スタートカリキュラム、理科社会への接続、言語能力の充実など、現代的な課題を意識して編集されています。子どもが身近な存在とかかわりながら、自分自身の生活について、自ら楽しく学んでいけるよう、魅力的な紙面作りを目指しました。


どんな いろ どんな におい どんな おと
ここでは、秋の紅葉の様子を見せる前に、モノクロ写真のページを挟んでいます。モノクロ写真を見て考える事で、葉っぱの色を想像し、さらにそこから形やにおい、音などに広げていき、自分なりの秋のイメージを想像してもらうことを期待しています。
せいかつ ことば
大日本図書の生活科の教科書では、生活科の学習とことばの指導とのかかわりを重視しています。ページの右端に「せいかつことば」というコーナーを設け、生活に密着した生活科の学習を進めるなかで、ことばへの関心が高まり、言語能力の充実を図っています。
ページの例では、アサガオの成長のようすを、「くきが のびる」「つるが まきつく」「たねを まく」といったことばを知ることによって、諸感覚を働かせて植物の成長をとらえ、豊かに表現できるようになることが期待できます。
むし むし むし
生活科の教科書には、図鑑としての役割もあります。活動の中で調べたり、新たな意欲を引き出せるように考えられた資料が、「がくしゅうどうぐばこ」というタイトルで掲載されています。
この虫の図鑑では、活動の前後で身の回りに色々な虫がいて、それぞれがどんな場所に棲んでいて、どんな季節に見られるのか、子どもたちの虫への興味・関心を高めるねらいがあります。
たんけん ライト
昼間の世界については、子どもの認識は多面的に深まっています。しかし、1日は24時間あり、社会はずっと動いているというところまでは意識できていないことが多いです。そこでこのページでは、探検ライトというしかけを使って、自分たちが寝ている間も動いている社会があるという視点を子どもたちに投げかけています。
クリアシートの下に探検ライトを入れると、まるでライトで照らされているみたいに、白い部分に夜の町の様子がうきあがるようになっています。
小学校生活科の教科書の変遷