教科書いまむかし
教科書紹介 小学校保健編
8平成29年(2017年)
学習指導要領「社会に開かれた教育課程」の提起
平成29年の学習指導要領では、子供たちが未来社会を切り拓くための資質・能力を一層確実に育成するとし、その際、子供たちに求められる資質・能力とは何かを社会と共有し、連携する「社会に開かれた教育課程」が重視されました。
知・徳・体にわたる「生きる力」を子供たちに育むため、「何のために学ぶのか」という学習の意義を共有しながら、授業の創意工夫や教科書等の教材の改善を引き出していけるよう、全ての教科等で、①知識及び技能、②思考力、判断力、表現力等、③学びに向かう力、人間性等の三つの柱で再整理されました。
また、知識の理解の質を高め資質・能力を育む「主体的・対話的で深い学び」を実現するため、学校全体として、教育内容や時間の適切な配分、必要な人的・物的体制の確保、実施状況に基づく改善などを通して、教育課程に基づく教育活動の質を向上させ、学習の効果の最大化を図るカリキュラム・マネジメントが確立されました。
小学校体育科保健領域の改訂のポイントや追加された内容は、以下の通りです。
- ◦思考力、判断力、表現力等についての項目を明記
- ◦運動と健康が密接に関連していること
- ◦不安や悩みへの対処、けがの手当についての技能の習得
- ◦けがや病気からの「回復」
- ◦健康に関心をもてるようにし、健康に関する課題を解決する学習活動を取り入れること
文部科学省
令和2年(2020年)版 たのしい保健
令和2年版の基本方針は次の3つです。
- ◦子どもたちを惹きつけ、確かな「生きる力」を育む。
- ◦より学びやすく、より教えやすく。
- ◦現代的な諸課題を通し、多角的に学ぶ。
身近な生活での健康の課題・情報について、子どもたちが、保健の見方・考え方(個人と環境とを相互に関連づけて健康状態・QOLを改善するなど)をはたらかせながら、自ら課題を見つけ、考え、話し合い、調べて、学びを深め、生活に活かし応用する課題解決過程を経て、変化の激しい社会を生き抜くことのできる資質・能力(未来に生きる力)の育成を目指しています。


毎日の生活とけんこう
単元のはじめの「学習ゲーム」など、さまざまな場面で運動、食事、休養・睡眠などを示し、運動と健康の関わりを大切にしています。
けがの手当
簡単なけがの手当のしかたを身に付けるために、イラストと説明でわかりやすく示しています。さらに、ウェブコンテンツにアクセスすることで、動画を見ながら実習することができるようになっています。
学習のまとめ、現代的諸課題
資質・能力の育成に役立てるために単元のまとめとして「学習のまとめ」を設置しています。学習の振り返りや評価として活用することができるようにしています。
また、現代的な諸課題を通して多角的に学ぶことができる教科書になっています。5・6年の巻末では、小中連携を兼ねて「がん教育」の内容を掲載しています。
小学校保健の教科書の変遷