教科書いまむかし
教科書紹介 小学校保健編
7平成20年(2008年)
学習指導要領「生きる力」の育成、基礎的・基本的な知識・技能の習得、思考力・判断力・表現力等の育成のバランス
学習指導要領の内容に大きな変化はありませんでしたが、系統性を重視し、学ぶ内容を明確にするという趣旨から、内容が整理されました。また、平成20年1月中央教育審議会の答申において、「心と体をより一体としてとらえ、健全な成長を促すことが重要であること」とされ、保健と体育をより関連させて指導することが提言されています。
大日本図書では、平成23年に『たのしい保健』を発行し、その後平成27年に『新版 たのしい保健』を発行しています。
国立教育政策研究所
「学習指導要領データベース」
平成23年(2011年)版 たのしい保健
平成23年版の基本方針は次の4つです。
- ◦主体的な課題解決学習を通して、健康・安全に関する知識や技能を確実に習得できるようにする。
- ◦身近な生活への問いかけを通して、健康・安全への学習意欲を高め、自ら進んで実生活に活かせるようにする。
- ◦生涯にわたって健康の保持増進を図り、楽しく明るい生活を営むために必要な思考力、判断力、表現力等を身に付けることができるようにする。
- ◦新設された内容や人権・生命の尊さ・福祉・食育・環境といった内容についても十分に配慮する。
全ての単元において、指導内容を明確にし、内容が構成されました。
なお、系統性の視点から、「毎日の生活と健康」では健康に関わる主体要因と周囲の環境要因について、「けがの防止」では身の回りの生活の危険が原因となって起こるけがを、「病気の予防」では地域での保健に関わる様々な活動に関する内容が新たに加わりました。また、人々の病気を予防するために、保健所や保健センターで行われていることなども示されています
学習ゲーム
児童が自ら取り組め、学習内容への興味・関心を高める導入の学習ゲームをすべての大単元の頭に設けました。
身長の変化
自分の成長や体の変化について、児童が肯定的に受け止められるように配慮しました。
単元の最初で自分の身長の変化について、グラフ作成をする学習を行うことで、自分の成長を目で見て実感することができるようになっています。
地域での保健にかかわる様々な活動
平成20年の学習指導要領の改訂において、「地域の様々な保健活動の取組」が新たに加わりました。
はってん
巻末では、発展的な学習内容として、生命の尊重について学ぶページを設けました。
平成27年(2015年)版 新版 たのしい保健
平成27年版の編集方針は以下の4つです。
- ◦主体的な課題解決学習を通して、健康・安全に関する知識や技能を確実に習得できるようにする。
- ◦身近な生活への問いかけを通して、健康・安全への学習意欲を高め、自ら進んで実生活に活かせるようにする。
- ◦生涯にわたって健康の保持増進を図り、たのしく明るい生活を営むために必要な思考力、判断力、表現力などを身に付けることができるようにする。
- ◦人権・命の尊さ・福祉・食育・環境について十分配慮する。
「学校生活でのけが」から「けがの原因」が独立し、けがには人の行動や周りの環境、心や体の状態が関わっていることを深く学ぶことができるようになっています。
けがの原因
学習指導要領では、事故やけがに関して「人の行動や環境がかかわって発生していることを理解できるようにする」ことと示されています。
どのようなものが実際に原因となるのか、イラストなどを見ながら考えることができるようになっています。
もっと知りたい
学習内容を補足するため、今まで各小単元のページ内にあったものに加え、各章末に「もっと知りたい!」ページが新設されました。主体的に学習に取り組み、学習の助けになる資料を豊富に掲載しています。
シールの活用
平成27年版では、3・4年にシールを活用した学習が入りました。シールを使うことで学習意欲を高めるとともに、学習を効率的に行えるようになっています。
小学校保健の教科書の変遷