vol.27 - No.1 (2025年4月1日)

日本には1月1日から始まる一年のスタートの他に、4月から始まる年度のスタートがあります。何十年もの間、2つのスタートをあわただしく過ごしてきましたが、今は卒業式と入学式のある年度の変わり目ということを意識しなくなってしまいました。多くの学校が入学式の日とする4月の上旬が私の誕生日であることから、今は1つ歳をとった新しい一年であることの方に意識が向いています。小学校では新年度がスタートすると、例外のジャガイモ(ジャガイモは2月の中旬から3月の上旬までの間に種イモを植え付ける)を除き、どの学年も何らかの植物を育て始めます。教科書に一番多く登場するのはアサガオ。次はホウセンカ。他にはヒマワリ、インゲンマメ、オシロイバナ、マリーゴールド、フウセンカズラ、ダイズ、ラッカセイ、オクラ、ツルレイシ、ヘチマなど、さまざまな植物が登場します。長い間、理科や生活科の授業を受け持っていたので、「年度のスタート」=「植物の栽培スタート」という思いで過ごしてきました。そして今も変わらず、新しい植物紹介のために前年に集めた草花の種をまく準備を始めています。野の花の種は発芽条件の情報が少ないので、芽が出てくれたら幸運といった思いで種をまきます。これといった配慮はしていません。とは言っても、1つだけ特別な注意が必要です。それは、まいた土の中に別の種が紛れ込まないようにすることです。これをいい加減にすると、発芽した芽がまいたはずの種の芽であるという確証が得られなくなってしまいます。芽が出たので早速撮影を続けたところ、本葉が出たところで「なんだカタバミだった」などということになってしまうのです。そんな今までの経験を思い起こしながら、私の年度のスタート、種まきのスタートの時となりました。

さて今回は、これから開花の時期をむかえるムギの品種の中から、ヤバネオオムギ(2条オオムギまたはビールムギともいう)が育つようすを紹介します。