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フィートを表す記号 '
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フィートの単位記号は，日本では ft しか認められていませんが，アメリカではしばしば「 ' 」が使われます。
角度 ° でも紹介しましたが，これは10進法でない数字の表記に使われる記号です。
フィートは，ヤード・ポンド法のヤードの１つ下の単位なので，single prime で表します。このとき，ほかの単位記号とはちがって数字と単位の間には空白を入れません。
例えば 3 ft なら 3' のように表されます。
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大きい足
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foot/feet は，英語で足という意味もあります。foot が単数形，feet が複数形です。
foot は，くるぶしより先の部分を指す言葉で，日本語の足がときに胴体から先全体を指すのとちがっています。
英語で胴体から先全体を指すときには leg を使います。
日本人の足の大きさは，男性が平均 25.2 cm，女性が平均 23.0 cm です（「足サイズ計測事業報告書」社団法人 日本皮革産業連合会 2008年調査）。それぞれ ft に直すと，男性 0.827 ft，女性 0.755 ft。1 ft には遠く及びません。
日本人の足が小さいからでしょうか？
アメリカの整形外科医学会の2014年の調査によると，アメリカ人男性の靴のサイズは平均 10.5 だそうです。
アメリカの靴のサイズと足の大きさの関係は，次のようになります。
男性用靴サイズ アメリカ 足のサイズ 日本 6 9$\frac{1}{4}$ in 24.0 6.5 9$\frac{1}{2}$ in 24.5 7 9$\frac{5}{8}$ in 25.0 7.5 9$\frac{3}{4}$ in 25.5 8 9$\frac{15}{16}$ in 26.0 8.5 10$\frac{1}{8}$ in 26.5 9 10$\frac{1}{4}$ in 27.0 9.5 10$\frac{7}{16}$ in 27.5 10 10$\frac{9}{16}$ in 28.0 10.5 10$\frac{3}{4}$ in 28.5 11 10$\frac{15}{16}$ in 29.0 11.5 11$\frac{1}{8}$ in 29.5 12 11$\frac{1}{4}$ in 30.0 女性用靴サイズ アメリカ 足のサイズ 日本 4 8$\frac{3}{16}$ in 21.0 4.5 8$\frac{3}{8}$ in 21.5 5 8$\frac{1}{2}$ in 22.0 5.5 8$\frac{3}{4}$ in 22.5 6 8$\frac{7}{8}$ in 23.0 6.5 9$\frac{1}{16}$ in 23.5 7 9$\frac{1}{4}$ in 24.0 7.5 9$\frac{3}{8}$ in 24.5 8 9$\frac{1}{2}$ in 25.0 8.5 9$\frac{11}{16}$ in 25.5 9 9$\frac{7}{8}$ in 26.0 9.5 10 in 26.5 10 10$\frac{3}{16}$ in 27.0 男性のサイズ10.5の足の大きさは 10$\dfrac{3}{4}$ in，ft に換算すると約 0.896 ft です。ft の本場でも足のサイズは 1 ft にならないようですね。
では，1 ft もある足って，どこのだれのなんでしょうか。
みなさん16文キックを知っていますか？
プロレスラーの故ジャイアント馬場さんの必殺技の一つで，ロープに振って戻ってきた相手に，カウンターで振り上げた左足をぶつける技です。ほかの選手が使うときはビッグ・ブーツなどと言われます。
この技は，馬場さんのアメリカ修行時代に生まれました。当時，日本の新聞記者が，馬場さんの靴のサイズが16であったことに因んで名付けました。
文というのは，日本で足や靴の大きさを表すのに使った長さの単位で，１文は約 2.4 cm です。16文は，約 38.4 cm ということになりますが，そのとき馬場さんが履いていたのはアメリカの靴ですから，単位は文のはずはありません。
アメリカのサイズ 16 は足の大きさが約 12.5 in，つまり約 1.04 ft です。
馬場さんの足が，だいたい 1 ft だったようです。
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単数？ 複数？
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長さ 1 m，2 m，日本語では「いちメートル」「にメートル」と単位の部分は常に「メートル」と読みますが，英語の場合は，one metre，two metres と，1のときは単数形「ミーター」，2のときは複数形「ミーターズ」になります。
ft の場合も，1 ft，2 ft は，日本語では「いちフィート」「にフィート」ですが，英語では one foot（ワン フット），two feet（トゥー フィート）となります。
…正確にはそうなのですが，実際に身長を尋ねてみると，ちょっと違った反応を耳にします。
How tall are you? —— Five foot three.
口語では長さを指すとき，おもに単数形を使います。なお，three の後ろには inches（in）が省略されています。5 ft 3 in は，約 160 cm です。
ただし，口語でも距離を指すときには，きちんと複数形が使われます。
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測量フィート
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ヤード・ポンド法によくあることですが，ft も国によって異なる大きさを持っていました。
イギリスでは，1 ft = $\dfrac{1}{3}$ yd と定義されており，1 yd = 0.9143969 m より 1 ft = 0.3047989… m でした。
アメリカでは，1 ft = 12 in と定義されており，1 in = $\dfrac{1}{39.37}$ m より 1 ft = 0.3048006… m でした。
どちらの定義も $\dfrac{1}{10}$ や 10倍 でないのがヤード・ポンド法らしいところですね。
1959年に，これらを統一することになり，国際フィート 1 ft = 0.3048 m が生まれました。
しかし，アメリカは，それまでに蓄積された測量データがそのまま使えるよう，米国測量フィート（US survey foot）として古い定義のフィートを残し，今もアメリカの測量の分野では使用され続けています。
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ft が使われるところ
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航空機の高度の単位には，世界的に ft が使われます。
また，速度の単位には kn（ノット）が使われます。
飛行機に搭乗していると「現在，当機は高度 9,400 m を時速 1,050 km にて飛行中です。」などと，アナウンスが入りますが，これは乗客にわかりやすいよう，メートル法に換算してくれているのですね。
また，いろいろなスポーツで競技場のサイズがフィート由来になっています。
例えば，野球。
2014年の日本シリーズのラストシーンで「スリーフットライン」が有名になりましたね。
スリーフットのスリーは「３」，フットは長さの単位「フィート」のことです（ラインは「線」です）。
日本の公認野球規則に基づいた野球の競技場のサイズは右次の通りです。
メートル基準で表記すると，小数点以下第３位までの細かな数字で示されています。
これをフィート基準に直すと（画像をクリック），スッキリした値になります。
テニスもそうです。
テニスもそうです。
左次の図が，テニスコートの寸法です。
画像をクリックして，フィートの値を確認してみてください。
なお，ネットの高さは中央で 0.914 m（＝3 ft），両端で 1.07 m（＝3 ft 6 in）と決まっています。
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1 ft ってどのくらい？
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LP盤のレコードの直径が，12 in，つまり 1 ft です。
LP盤というのは，両面使用でアルバムの収録に使われていた33$\dfrac{1}{3}$回転のレコードです。
直径 7 in で45回転のシングル盤に比べて長い時間（片面30分ほど）収録できることから，Long Playの頭文字をとってLPと呼ばれました。
「回転」というのは，１分あたりの回転数のことです。
レコードは一定の回転数で再生されるので，外周部分に比べて内周部分の方が音質が悪くなります。そのため，外側から内側に向かって再生され，直径 4 in 分がレーベルにあてられています。
１秒あたりに針の進む距離を，外周を $l_{\text{外}}$，内周を $l_{\text{内}}$ として計算してみます。
$$ \begin{align} l_{\text{外}} &= 1 \,\text{ft} \times \pi \times 33\frac{1}{3} \div 60 \,\text{s}\\ &= 1 \,\text{ft} \times 0.3048 \,\text{m/ft} \times \pi \times \frac{100}{180} \,\text{/s}\\ &\fallingdotseq 0.532 \,\text{m/s}\\ l_{\text{内}} &= 4 \,\text{in} \times \pi \times 33\frac{1}{3} \div 60 \,\text{s}\\ &= \frac{4}{12} \,\text{ft} \times 0.3048 \,\text{m/ft} \times \pi \times \frac{100}{180} \,\text{/s}\\ &\fallingdotseq 0.177 \,\text{m/s}\\ \end{align} $$
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単位の換算
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空欄に数値入力することで、単位を換算することができます。
ft $=$ m
