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尺との関係
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自分の身体の各部位の寸法をすぐに言える人はあまりいないと思いますが,親指の幅は 133 m(≒ 3 cm) もない,というのはすぐにわかるでしょう。
実際,自分の親指の幅をノギスで測ってみたところ 2.18 cm でした。
どこから狂ってしまったのでしょうか。
尺の由来──手を広げたときの親指の先から中指の先までの長さ──と親指の幅の関係を調べてみました。
大日本図書の編集部の男性10名,女性10名について測定し,結果をプロットすると右次のようになります。
最小二乗法で傾きを調べると,1.03751801 でした。
つまり,「親指の幅〔mm〕」と「手を広げたときの親指から中指の先までの長さ〔cm〕」は, 1:1.03751801。単位を揃えて考えれば,ほぼ 1:10 と言ってよさそうです。
寸や尺は古代中国で生まれた単位です。当初は由来の通りの大きさでしたが,南北朝時代(5〜6世紀)に大きくなってしまったようです。
日本に伝えられたときには,すでに尺は「手を広げたときの親指から中指の先までの長さ」ではなく,約 27 cm〜30 cm,寸はその 110 となってしまっていました。
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一寸法師
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寸と言えば,一寸法師という昔話がありますね。
子どものいなかった夫婦が,小さい子どもでいいからと神様に頼んで授かった男の子を一寸法師と名付けます。
最後は,鬼を退治して,手に入れた打ち出の小槌で身体を大きくしてめでたし,めでたし,というお話です。
お話では,一寸法師は,お椀の船をお箸で漕ぎ,針を刀代わりにしたことになっています。
そこで,子ども用のお椀とお箸に,身長 3.03 cm の写真をあてがってみました。
…これでは漕げそうもないですね。
お椀の中に入れると,すっぽりおさまって外が見えません。
一寸法師,一寸というのは誇張された表現のようです。
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五寸釘
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1 寸 ってどのくらい?〜硬貨
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大きめの硬貨が1寸くらいかと思って調べてみたところ,アメリカの 50 ¢(セント)硬貨の直径が 30.61 mm とほぼ1寸でした。
ただ,この硬貨はほとんど使われていないようです。
日本の五百円硬貨の直径は 26.5 mm です。小さいですね。
しかし,この寸法情報を見に行った財務省のウェブサイトで,記念硬貨には1寸ほどのものがあることを知りました。
一番最近発行された約1寸の硬貨は,平成10年発行の「長野オリンピック冬季競技大会記念(第3次)5,000円銀貨幣」で,直径は 30.0 mm です。
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1 寸 ってどのくらい?〜パン
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4枚切り食パンの厚さが,約1寸です。
食パンは,1斤を何枚に切ったかで厚さの目安にします。
ここでいう「斤」は,食パンに限って使われる単位で,質量 340 g(以上)を意味します。尺貫法の質量の単位とは大きさが異なります。
関東では6枚切りや8枚切り,関西では5枚切りが好まれるようです。4枚切りというと厚切りの食パンですね。
買ってきました。
パスコの「超熟」4枚切りです。
パスコの「超熟」4枚切りです。
なんと,ぴったり 3.03 cm です(ノギスの読み方は画像をクリック)。
そして,厚切り食パンといえばコレ。「ダブルソフト」です。
そして,厚切り食パンといえばコレ。「ダブルソフト」です。
こちらは,2.92 cm(ノギスの読み方は画像をクリック)。
ほかの4枚切りもいくつか調べましたが,メーカーによって厚みがちがうようです。
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単位の換算
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空欄に数値入力することで、単位を換算することができます。
寸 = cm