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記号のつくり
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デシベルの d はSI接頭語の deci で,10−1 つまり 10分の1 を意味します。小学校の算数にでできた dL(デシリットル) についていましたね。
元になる単位は B (ベル)です。大文字ということは,人名に由来する単位のようですね。
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アレクサンダー・グラハム・ベル
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音圧のレベルの単位デシベルのベルは,アメリカの発明家アレクサンダー・グラハム・ベル(1847年〜1922年)にちなんでつけられました。
ベルは,1876年の電話の発明で知られる発明家です。1877年にはベル電話会社を創業し,アメリカに電話を普及させました。その後,1885年には,現在もアメリカの最大手電話会社として知られるAT&T(American Telephone & Telegraph)を創業しました。
音の大きさの単位に使われるデシベルを提唱したのも,ベル・システムという彼の作った会社連合でした。
元々デシベルは,電気通信における信号劣化の割合を表すための単位として考案されたものでした。
[Public domain]
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音圧のレベルって何のこと?
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工事現場や交通量の多い道路などで,左 のような表示を見たことはありませんか?
dB は,騒音(と振動)の目安に使われています。
中学校理科の教科書「新版 理科の世界」では「音の大きさ」を表す単位として紹介されています。
音の正体は音源の振動です。その振動が空気の振動となって伝わっていきます。
音が空気中を伝わっていくとき,空気の密度には大きい部分と小さい部分が生じます。密度の大きい部分では圧力が大きく,密度の小さい部分では圧力が小さくなります。
この圧力が音圧です。音圧が大きいほど音は大きく聞こえます。
ヒトが聞き取ることのできる最小の音圧は 20 µPa とされています。これに対して,聴力障害などを引き起こさないで聞くことのできる最大の音圧は 10 Pa 程度と,最小音圧の50万倍ほどの大きさです。
では,ヒトは音圧に比例して音の大きさを感じるかというと,そうでもありません。わたしたちの聴覚は,音が小さいときには高感度で,大きくなるにしたがって感度が鈍っていくのです。
そこで,最小の音圧を基準にし,音圧が10倍になるごとに値が20大きくなるように決めた単位が dB です。
定義の式にある log を対数(常用対数)といい,指数との間に次のような関係があります。
10p=M⟺p=logM定義の式のように,基準となる値との比の対数を使って表す指標を,一般にレベル表現といいます。dB は,音圧をレベル表現で表したものなので,音圧のレベルというわけです。
なお,dB という単位は,音圧以外の場面でも利用されることがあるので,音圧のレベルであることを明確にするために dBSPL(Sound Pressure Level)と書くこともあります。
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0 dB ってどのくらい?
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正常な聴覚の若い人が,雑音のない環境で 1000 Hz の音を聴き取れるギリギリの音圧のレベルが 0 dB です。
この 1000 Hz の音というのは,ピアノの中央のドから2オクターブ上のド(1046.5 Hz)と同じくらいの高さの音です。
音の聴き取りやすさは,音の高さによっても変わります。ヒトの場合は 2000〜4000 Hz の音が聴き取りやすく,4000 Hz の音は,聴力検査に使われています。
聴き比べてみましょう。
このほか,dB の値と音の大きさの目安は,次のようになります。
120 dB 飛行機のエンジン近く 110 dB 自動車のクラクション(前方 2 m) 100 dB 電車が通るときのガード下 90 dB 大声による独唱,騒々しい工場内 80 dB 地下鉄の車内(窓を開けたとき),ピアノ 70 dB 掃除機,騒々しい事務所 60 dB 普通の会話,チャイム 50 dB 静かな事務所 40 dB 深夜の市内,図書館 30 dB ささやき声 20 dB 木の葉のふれ合う音
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単位の換算
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空欄に数値入力することで、単位を換算することができます。
dB = µPa