大日本図書

わたしと教科書

カメラマン
泉谷典彦さん

教科書写真裏話 

普段皆さんが写真を撮るときには、きれいな風景や記念の場面でポーズをとりながら1、2枚パチリとシャッターを押すだけということがほとんどだと思います。

しかし、教科書や雑誌などに使う写真はそういうわけにはいきません。

この写真は9月頃に学習する「長さ」の単元に出ているものですが、実際に撮影したのは初冬の日でした。撮影に集まった子どもたちは、セーターやジャンパーなどを着ていました。しかし、9月の紙面に上着を着ている写真というのは季節に合いません。そこで、寒さ対策に簡易カイロを背中やおなか、靴の中など、たくさんつけてもらい、上着を脱いでもらって撮影しました。
最初は順調でしたが、寒くなったら中断して上着を羽織るというのを繰り返していると、だんだんと撮影に飽きて笑顔がなくなってしまいます。「最後の決め手は君たちの笑顔だよ」などといって、何十枚も撮影しましたが、思うような1枚が撮れません。笑わせようと面白い話もしましたが、 カメラを構えながらでは、限界があります。

平成17年度版 たのしい算数 3年上 p.8

平成17年版 たのしい算数 3年上 p.8

この写真は9月頃に学習する「長さ」の単元に出ているものですが、実際に撮影したのは初冬の日でした。撮影に集まった子どもたちは、セーターやジャンパーなどを着ていました。しかし、9月の紙面に上着を着ている写真というのは季節に合いません。そこで、寒さ対策に簡易カイロを背中やおなか、靴の中など、たくさんつけてもらい、上着を脱いでもらって撮影しました。最初は順調でしたが、寒くなったら中断して上着を羽織るというのを繰り返していると、だんだんと撮影に飽きて笑顔がなくなってしまいます。「最後の決め手は君たちの笑顔だよ」などといって、何十枚も撮影しましたが、思うような1枚が撮れません。笑わせようと面白い話もしましたが、 カメラを構えながらでは、限界があります。

実は、そういうときのために奥の手があるのです。
笑顔のためには、特に意味はなくても楽しい気分になれるような意味なし言葉を言ってもらいます(このときは「ニャンニャンニャンニャン」と言ってもらいました)。するとねらいが的中し、子どもたちの表情もゆるんできました。

そして、最高の笑顔の時にシャッターを切ったのがこの写真です。どうです、「ニャンニャン」と言っているように見えてきませんか?

平成17年度版 たのしい算数 3年上 p.8の写真

2006.03.01

プロフィール

泉谷典彦さん写真家

雑誌、新聞などを中心に活躍するフリーカメラマン。大日本図書では、算数のほか数学などの教科書の写真を撮り続けている。

モノクロ写真にこだわった作品も多く、ホームページではそれらの一部を観ることもできる。2003年には、写真詩集「薬罐」(冨山房)を出版。また、個展も頻繁に開催している。

Photography of Nori Izumiya

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