著者としてのお誘いを受けた頃,昭和59年度版と昭和62年度版の大日本図書の教科書を見比べて,「こんなにも変われるものなのか」という感想を抱いた。
59年度版までの教科書は,緻密で精確な内容ではあるけれども,誰もが使いやすい教科書ではなかったと思う。それに対して62年度版の教科書は,生徒や教師が使ってみたいと思うような様々な改訂がなされていた。
例えば,学習内容が一目でわかるようにまとめた
の導入や,2・3年の図形の証明の書き方の統一など。このような改訂を可能にしたのは,充実した編集会議が開かれていたからであることが,著者になってはじめてわかった。
誰の意見も尊重して受け止めた上で,口角泡を飛ばすような激論があったり,たった一言を何時間もかけて検討したり,ある節の原稿が5通りも示されたり。すべては,「生徒にとって使いやすく,教師にとって教えやすい教科書」をめざして行われていた。
以来20年以上が経つが,このような姿勢は何ら変化していない。最近でも,見開き2ページで1時間の学習内容をまとめたり,小学校教科書との連携を考慮して生徒が主体となって学習できるように
を導入したりと,教材の充実はもとより,様々な工夫がなされている。
今後も,使う人の身になって,よりよい教科書づくりをめざして努力していきたいと思う。