vol.25 - No.10 (2023年8月15日)

畑の作物の世話をしながら雑草が残る周辺の畑をながめてたときのことです。葉の上や地上をあちこち動き回るバッタのほかに、ヒメアカタテハがひらひらと飛んでいるのが目にとまりました。蜜を吸うことができるような花もないのに何をしているのかと、その姿を追ってみました。すると、メヒシバやオヒシバの間にチチコグサがたくさん生えています。ですが、花はすっかり咲き終わっていて、茎の先にはもこもこしたたくさんの綿毛がついています。ヒメアカタテハは、そんなチチコグサにとまっていました。何をしているのだろうかと思いながらも、目の前のクルマバッタモドキの終齢幼虫に気を取られそのままにしてしまいました。後で気になったので、ヒメアカタテハがとまったと思われるチチコグサをよく見てみたのですが、特に変わったようすはありませんでした。ところが、家に帰って調べてみたところ、ヒメアカタテハの幼虫の食草はヨモギやハハコグサ、それとチチコグサだったのです。翌日、確かこのチチコグサにとまっていたはずと丹念に見たのですが、期待した卵を発見することはできませんでした。その代わりにチチコグサの根元近くで巣を作る終齢幼虫を3頭見つけたので、育ててみることにしました。たいした世話をすることもなく、終齢幼虫は4日ほどで次から次に蛹になり、その4日後には羽化して成虫になりました。少しでも生きのびることができるようにと思い、ハチミツを水でうすめて脱脂綿にしみこませた餌を用意し、根をつけて掘り起こしたヨモギを植木鉢に植えて観察を続けました。初めは無理やりハチミツ液をなめさせたこともありましたが、しばらくすると自分からも吸うようになりました。4日たっても元気で、葉にとまるようにもなりました。そこで、まさかと思いながらも、ヨモギの葉を虫めがねで見たところ、何と!卵がついています。3頭のヒメアカタテハの1頭は他の2頭よりやや小ぶりです。一般的にはオスがメスより小さいので、オスが1頭でメスが2頭だったようです。そんなにうまくいくはずがないとあまり期待せず、その後も観察を続けました。4日目のことです。幼虫がたくさん歩き出しています。こんなにも早く孵化するとは、驚きです。今では幅60cmの水槽の中に、ざっと数えても100頭以上の幼虫がいます。その幼虫を撮影しながら、これから先どうなるかを深く考えもせずにせっせと餌を与えています。

さて今回は、今、畑や野原にたくさんいるバッタの仲間からホシササキリを紹介します。今月と来月の2回に分けて詳しく紹介します。