vol.24 - No.11 (2022年9月1日)

今の家に移ってすぐに庭に池を作りました。もう25年ほど前のことになります。今では、周囲を囲む石とセメントとの間にオオジシバリやユキノシタが生えたり、近くで育つ木の根が太くなったことなどにより、水が漏れて水面が10cmほど下がってしまいます。今年に入って修理しなくてはと思い始めたのですが、まずは寒さが続き、次は周囲の草が茂り作業がしにくくなり、そして梅雨に入ってしまいました。修理を始めたのは7月も終わる暑さの厳しいときでした。水を汲み出す作業をしながら、池で暮らす金魚を大きなポリエチレン製のゴミ箱に移していたときのことです。リンゴの木の葉などが落ちることで水が茶色くなり、中がほとんど見えない状態だった池の水面に、ふわーと浮かび上がる小さなうすいオレンジ色の魚が2匹、ちらっと目にとまりました。10cmを超える大きな金魚が1匹、7cmほどの金魚が3匹しかいないはずの池に、尾の先までの長さが3cmほどのうすいオレンジ色の魚が泳いでいたのです。さらに水を汲み出し、水が少なくなって池の底まで見えるようになると、長さが2cmほどのまだ色のついていないフナのような金魚も、1匹ではありましたがいました。繁殖に十分な環境ではないと思っていた池の中で、子供が生まれ元気に育っていたのです。よい環境でなくてもしっかりと子孫を残そうとする金魚に驚かされました。どんな環境の中にあっても命をつなげていこうとする生き物たちの営みを見ると、生き物にとって生きることの大切な目的を考えさせられます。小さな金魚を見ながら、人間は生き物ではなくなってしまうのかなと、ふと思いました。

さて今回は、花が終わって今、そろそろ緑の実が色づき始めるクチナシが育つようすを紹介します。