vol.23 - No.24 (2022年3月15日)

高等学校の卒業式が終わり、中学校も早いところはもう終わってしまったでしょうか。今年卒業する中学生も高校生も、制約のない卒業式の経験をすることなく学び舎を巣立つことになってしまいました。とうとう今年で3回目です。若い人たちには人生に一度だけという機会が数多くあります。一生に一度しか経験することのできない体験を、満足できる形で心に残すことができなかったと悔しい思いを抱く人は数多くいるのではないでしょうか。人生とはそんなものと割り切ることができる人はそう多くはないでしょう。以前にも書いたことですが、私は思い出がしっかり心に残るほうではありません。失敗して恥ずかしいと思ったことは心に残りますが、楽しかったこと嫌だったことなどはあまり心に残らず、脳の記憶力が劣っているのではと思えるほどです。ただ、嫌な思いをしたことがすぐに記憶から抜けていくことはよい特性だと思うので、同じように楽しい記憶が鮮明に残らないことも仕方のないことかと思っています。思い出を記憶しない分、他の記憶に対しては自分でも驚くほど脳が働いてくれることがあります。カメラでシャッターを切って撮影した時の目に映った光景は、かなり多く頭に残っているのです。写真が必要になった時、これは撮影済みで確かあそこの場所でこんなふうに撮影したはずと頭に浮かびます。そんな時、脳ってすごいなと思うとともに自分の脳の特性に満足したりしています。ですが、時には写真がすぐに見つからないこともあります。そんな時は悲惨で、見つかるまで多くの時間を費やしてしまいます。人の記憶の仕方はさまざまですが、心に深い傷となってしまうできごとを経験し、つらい人生を送らなければならない人が地球上にはたくさんいます。心に深い傷を持たない自分の今を、感謝という言葉だけでは言い表すことができません。どのような思いで過ごしたらよいのかわからない3月です。

さて今回は、以前にテントウムシとして紹介したことがあるナナホシテントウを、詳しく数回に分けて紹介します。1回目は卵を産むまでのようすです。