vol.17 - No.09 (2015年8月1日)
生き物を育て写真を撮影していて、「この花は、種を作るまでに育つことができてよかったと思っているかな。」「この昆虫は、捕まってケースの中で一生を終えることに不満だったかな。」などと考えることがあります。生まれること、生きること、そして死を迎える時と場所、すべてが偶然でありちょっとしたことで未来は大きく変わります。初めから決まっていることなど何もありません。8月は平和について考える月です。または、戦争は絶対にしてはいけないと確認する月といってもいいでしょう。横浜に住む私は、いつもこの時期になると考えることがあります。横浜大空襲のことです。私の母は、この空襲で一番被害の多かった場所に住んでいました。もし空襲で母が命を失くしていたら、私はこの世に存在していません。私が今ここで生きていて、この原稿を書きながら好きなことに熱中できるのは、多くの幸運が重なった結果だと思っています。命はつながっていくものです。途切れた命の先には、たくさんの存在できなくなった命があります。このことを心に留め、これからも多くの命と付き合っていこう。そんなことを考えます。
さて今回から2回に分けて、セイヨウフダンソウ(アイデアル)を紹介します。厳しい暑さの中でへこたれてしまう生き物もいる中、元気に育ち続ける強い植物です。最近では、鎌倉野菜として名が知られるようになりました。まずは、種から食べころにまで育つようすです。