vol.26 -No.15 (2024年11月1日)

8月の中旬に、シバスズという名のとても小さなコオロギを10匹ほど長野で捕まえてきました。撮影したり観察したりして、シバスズに対し俗にいう目が肥えた状態になると、横浜の草地や畑でも見つけることができるようになり、何も長野から連れてくる必要などなかったなと思いました。そのシバスズが早速卵を産み、何と9月12日には孵化したのです。コオロギの仲間の中では最小といってもよい体長が8mmほどの昆虫なので、卵も幼虫もとても小さく、孵化して間もない白い体の幼虫が目にとまったことは、幸運としか言えない出会いでした。孵化直後の幼虫はやっと1mmを超える大きさです。触角は長くのびていますが細く、確認するには虫メガネが必要でした。土粒の中から小さな幼虫を見つけだし、ピントを合わせてシャッターを押す。これがとても大変な作業となります。若いころには特別苦労することなく行ってきた撮影ですが、小さなものを見つけるときにはメガネをはずす癖(近視なので近くのものを見るときには眼鏡をはずしたほうがよく見える)がついた時代が十数年続き、今では老眼によりメガネをはずしてもよく見えなくなってしまっています。そんな目を酷使して、孵化したての白い体ならまだしも、体色が黒ずんで土粒と紛れてしまうような色の幼虫を探すのですが、見つけてもちょっと目を離しただけで見失ってしまいます。そのため、虫メガネを使ってやっと幼虫がいる場所を探し出しても、カメラのファインダーを通して幼虫を捉えピントを合わせることは、慣れているとは言ってもとても難しい作業です。撮影は一発勝負となる場合も多いので、失敗をしないようにと最近は ストロボを使うことが多くなりました。ストロボを使うこと以上の方法は思いつかないので、いつまでこのような撮影が続けられるか不安になります。続けることが健康につながると考え、粘り強く撮影をするのですが、終わった後に一息入れる時間は着実にのびています。

さて今回は、秋も深まるころまで頑張って花を咲かせる、キバナコスモスが育つようすの紹介です。今回と次回の2回に分けて詳しく紹介します。