vol.25 - No.18 (2023年12月15日)

初夏のころから飼育していたエンマコオロギの多くは死んでしまいましたが、まだオスとメスが1匹ずつ生きていて、オスは時おり羽を振るわせて鳴くこともあります。11月になっても暖かい日が続いたことや食べ物を十分に取ることができたからでしょう。環境が延命に大きくかかわることは事実のようです。私たちの寿命にも、生活環境が大きく関わっていることを忘れるわけにはいきません。日本では、今や人生100年時代と言われています。人生50年といわれた時代の2倍も長い命が得られる可能性のある時代となりました。しかし、大正時代の終わりから昭和の時代を生きた人たちと、昭和20年代以降に生まれた人たちの生活環境には大きな違いがあることを、しっかり把握する必要があると私は強く感じています。体に適した十分な食べ物と、大きな負担となることのない適度な労働、そして極寒すぎず極暑すぎない環境。そうしたよい環境の中だからこそ100歳前後の寿命が可能となったのではないか。私はそう感じています。今まで経験したことのないような猛暑が長く続き、急に寒くなる。そんな今年のような気候が続くと、私たちにはきびしい環境となります。食生活にも変化があります。おいしさだけを追求した食事では健康は保てないでしょう。その他にも、多くの汚染物質や化学製品など、生き物の長い歴史の中で経験したことのない様々な環境の変化があります。そうした要因を考えると、人としての寿命を、短くすることはあっても延ばすことはできないと思うのです。二酸化炭素削減が叫ばれながら様々な取り組みが進められています。しかし、一方では、あちこちで爆弾による破壊が行われています。そうした現実を目の当たりにして、すべての人が地球の上で生きていることと、基本的な命の営みを大切にすることをしっかり心にとめて科学も技術も発展させていかなければならないと、ますます思うようになりました。

さて今回は、クサギカメムシの2回目です。3齢幼虫が成虫になるまでのようすです。