vol.25 - No.06 (2023年6月15日)

春は何種類もの昆虫を育てていたために、庭で花や作物を育てることはあまりしませんでした。ノラボウを育てていた場所に、こぼれ種から芽を出して育ったシソの苗をちょうどよい間隔に植え替えたほかは、芽を出し成長し始めた宿根草や種から発芽した芽などをそのまま放置していました。いくつかの植物はそのまま観察してもいいかなと思ったからです。ところが、育つ力の強い植物がぐんぐんと体を大きくして、かなりの場所を占拠してしまいました。一番大きく育ったのは、越冬できないのではと思って根を残したアザミの仲間のアーティチョークです。春先から30cm〜50cmほどの長さのとげのつく葉を1枚2枚とのばし始め、暖かくなるにしたがってぐんぐんと大きくなり、背丈が1m50cm以上に、1枚の葉の長さも1m近くになりました。枝分かれした茎の先には、大人の手のグーの大きさを超える大きな蕾がたくさんつきました。中央につくつ蕾はさらに大きく、両手を合わせて膨らませたほどです。その隣では、これもアザミの仲間のアメリカオニアザミが、アーティチョークに負けじと大きく育っています。また、ハーブの仲間のボリジも、昨年のこぼれ種からあちこちで芽を出し、これもぐんぐん体を大きくして花を咲かせています。ふと思いました。どれもみな外来種。日本の気候がぴったりだったのか、在来の草花よりもずっと大きく育ちます。日本のものは小さくて貧弱。外国のものは大きくて立派。そのようすから、NHKの朝のテレビドラマ「らんまん」を珍しく見たときの一場面が頭に浮かびました。明治維新のころ、外国の人たちと交流するようになった人たちの姿です。外国の人や物に対し劣等感のようなものを持ったのも、当時の人たちにすれば仕方のないことだったのかなと少し思いました。しかし同時に、狭い場所でもしっかりと育ち、小さくても可憐な花をつける草花の姿を見ながら、日本の中で育ってきたものにも、誇れるものがたくさんあるのだから、それらを大事にしたいなと、今まで以上に思いました。

さて今回は、キアシドクガの3回目です。蛹が羽化して成虫になるまでのようすです。