vol.24 - No.01 (2022年4月1日)

寒い冬ではありましたが、春の訪れは駆け足のようで、3月の中旬にはとても暖かい日が続きました。サクラはいっせいにつぼみをふくらませ、サクラの花が咲く中で卒業式を行う小学校や中学校が出るのではと思うほどの勢いでした。実際、東京では3月21日に開花宣言が出され、3月中に見ごろとなりました。ぎりぎりではありますがサクラの花に祝福された入学式となる学校も多いのではないでしょうか。人生の大半を学校で過ごした私には、1月1日よりも、4月が一年のスタートとして実感できます。サクラの花の咲く春4月に入学式が行われ、良くも悪くもなくいつものように新年度が始まる。長い間そんなふうに過ごしてきました。我が家の庭では1月にロウバイやサクラソウが咲き、2月にはウメやスイセンそしてフクジュソウ、3月になるとクリサンセマムノースポール・ムラサキハナダイコンと次々に花が咲き出します。ですが、春の訪れを決定づけるサクラの開花で、野山は活気づき生き物たちの新たな一年が始まる。そんなふうに思っているのです。生き物には恒常性(ホメオスタシス:ギリシャ語の「同じ」という言葉と「状態」という言葉を組み合わせた造語)と呼ばれる体内環境を一定に保とうとする性質があります。その性質を特に強く持つと感じる私は、「恒」という言葉が示す「いつも通り」が一番よいことだと思っています。変化に富んだ刺激的な生活は望みません。新年度がスタートする4月、どうか穏やかに一年が流れていきますようにと願っています。

さて今回は、花ばかり注目されてしまいがちですが、サクラ(ソメイヨシノ)の実ができるようすを紹介します。