vol.23 - No.15 (2021年11月1日)
身近な存在と思われる生き物なのに、もうずいぶん長いこと生きた姿を見たことのない動物に、モグラとオケラ(正式にはケラ)がいます。畑や山道などに土の盛り上がった細い道ができていたり、柔らかい土の山ができていたりと、モグラの仕業と思われるようすはよく見かけます。ですが、その姿はしばらく見ていません。オケラも同様です。むかし、夕方に田のわき道や川の土手などの湿り気の多い場所でジージーと鳴く声が聞こえると、あれはオケラが鳴いているんだよと教えられました。しかし、その姿を最後に見てから何十年もたってしまいました。そんなオケラの写真が必要になったので、本気でケラを探すことにしました。手間取ることを覚悟していたのですが、餌のミミズが多い湿った場所にいるようだというわずかな知識だけで探し始めて30分、たいした努力をすることなくケラの終齢幼虫を捕まえることができました。まず、(水分は下にしみこむので)傾斜した畑の一番下は湿り気が多いだろうと考えました。そこで、畑も持ち主に許可を取り、土を掘ってみることにしました。持ち主からは、ジャガイモとジャガイモの間には堆肥がたくさん入れられているからミミズもたくさんいるはずと教えてもらいました。はじめは、掘った土をふるいにかけ、網にかかっところを捕まえようと考えていました。ところが、ジャガイモを傷つけないようにとそっと手で掘ったジャガイモとジャガイモの間の土の中にいたのです。さっと土ごとつかんでビンの中に入れました。捕まえたケラは終齢幼虫だったので、成虫にまで育てようとミズゴケと畑の土を半分ずついれた飼育ケースにたくさんのミミズとともに入れました。また次の日には、小さく切ったジャガイモとサツマイモ昆虫ゼリーを餌として入れました。無事成虫になってほしいものです。
さて今回は、鳥によって運ばれたシュロの種が庭で生えだし、大きく目立つまでに育ったので、そのシュロが育つようすを紹介します。