vol.23 - No.14 (2021年10月15日)

横浜生まれの横浜育ち、ずっと横浜で暮らしてきました。とは言っても、私が暮らしていたのはおしゃれな街でも、たくさんの人が暮らす港町というわけではありません。生まれ育ったところは、山と畑と田んぼばかりの田舎の村でした。お店も数件しかなく、お金をもらっても使うところがなかったので、「小さい頃は、お金をあげると言ってもいらないと答えていたんだよ。」と、親から言われたことがあるほどです。遊び相手はというと・・・登りやすい木、太くてぶら下がれるつる、竹が茂りトンネルのようになった山道、カギッコの木(正しくはミズキの木)、パチンコ玉用のエゴノキの実といった植物。カブトムシ、クワガタ、カナブン(糸をつけてぐるぐる回るように飛ばす)といった昆虫。田んぼに行くと、ドジョウ、アメリカザリガニ、アカガエルといった小動物。すべて自然が相手でした。そうして、小さな頃から、いつの間にか自然と上手に付き合う方法を学んでいました。なので、スズメバチの巣を刺激して刺されたり、イラガに触れてひどい目にあったりしたことはありません。折れやすい木に登り、落ちて大きなけがをしたこともありません。

最近は、人との距離をとっての生活を心がけなければならなくなりました。アウトドアブームとも相まって、自然の中に出かけて過ごす人が増えているようです。ですが、自然と触れ合う準備のできていない人が多いように感じます。刺される、かまれる、かぶれるといったことがないように、ある程度の知識を身につけてから出かけるようにしたいものです。特に身近な存在の、毒針毛(どくしんもう)を風で飛ばすチャドクガには注意が必要です。

そのチャドクガを(近づいてよく観察しましょうとは言い難い昆虫ですが…)今回から3回に分けて詳しく紹介します。1回目は交尾したメスが産んだ卵が、孵化して2齢幼虫になるまでのようすです。さすがの私も注意深く接して撮影しました。