vol.23 - No.05 (2021年6月1日)
今年もまた、モンシロチョウに似た白い蛾(キアシドクガ)がたくさん乱れ飛ぶのを見てしまいました。昨年からセイヨウミツバチを飼育する畑の周辺でも見かけるようになりました。とうとう身近な場所にも現れるようになってしまったのかと思いはしましたが、十数匹だったこともあって強く心には残りませんでした。しかし、今年は事情が大きく変わってしまいました。昨年発生した場所から100mほど離れた場所で、数十匹、いや100匹を超えるのではと思われる数のキアシドクガが、ひらひらとせわしなく1本の木を取り囲むように乱舞しているのです。近づいてみると、キアシドクガが飛び回る中心には、葉が1つもついていない大きなミズキ(クマノミズキ:キアシドクガの幼虫の食草)がありました。幹の直径が太いところで20cmを超える大きな木です。その葉がキアシドクガの幼虫によってすべて食べつくされてしまったのです。本来なら美しい緑の葉がたくさんついている時期なのですが、葉柄だけを残して緑の部分は全くない状態になっていました。その木の周辺には、おびただしい数の蛹の殻が残されていました。キアシドクガは年1回発生します。成虫たちが、来年のために産卵すべく食樹の周辺を乱舞していたのです。来年の春には、今年の何倍、いや何十倍もの幼虫が孵化することでしょう。今年の数ですら、ミズキは1枚の葉も残せない状態になりました(ミズキはもう一度葉をつけることができますが・・・)。来年一斉に幼虫が孵化すると、成長を終えることができず死んでしまうとものが出ると予想されます。ミズキと上手に共存することを選ばず、自らの子孫が死んでしまう危険を冒してまで繁殖しようというのでしょうか。飛び回るキアシドクガの光景を見ながら、色々と考えさせられてしまいました。
さて今回は、5月から6月にかけて花を咲かせ、ミツバチの大切な蜜源となるハリエンジュ(和名:ニセアカシア)を紹介します。