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O君

どのような仕事をしていますか。

商品やサービスをこうにゅうしたときに,アンケートがついてくることがあると思います。
それらの商品やサービスを満足して使ってもらえるように,このようなアンケートによって集められたデータをぶんせきし,改善点を提案する仕事をしています。

インタビュー
O君

どうしてこの仕事についたのですか。

もともと「パソコンで何かをする」ということが好きだったので,大学のころからデータサイエンスをせんこうしていました。
自分たちでアンケートを取ったり,ぎょうから実際のデータをいただいたりして分析をしていると,データから新しい発見が見つかります。
そこに面白みを感じて,仕事でも同じことをしたいと思いました。

インタビュー
O君

仕事のやりがいはどんなところですか。

データの分析結果にもとづいた提案によって,より多くの人がその商品を買ってくれるようになったときは,自分の分析が役に立ったことにやりがいを感じます。

インタビュー
O君

仕事の大変なところはどんなところですか。

自分が日常で関わらないことに関するデータも分析しないといけないところです。
あつかうデータはお客様である企業のものであり,企業ごとに業種も課題もさまざまです。
自分が実際に購入していない商品や利用していないサービスのデータの分析は難しいですね。

インタビュー
O君

光廣さんは,はば広いデータを扱っているんですね。
確かに,あまり知らない商品やサービスについて考えるのは難しそうです。

女性向けの商品のデータを分析するときも大変です。
たとえば,つけまつげなどの女性が利用することの多いしょう品のデータを分析するときは,らいしてきたぎょうの担当者も女性が多く,先にどんどん議論が進みます。
ですので,当然化粧品の予備知識がないとついていけません。
そのため,まずは商品に関する用語を調べるところから始めないといけないので,やっぱり苦労しますね。

インタビュー
O君

仕事のなかで数学を使うのはどんなときですか。

データ分析の仕事では,連立方程式や確率など,およそ中学校の数学で学習することはすべて使っています。
なかでもよく使うのは,統計で学習する代表値やグラフなどです。
「箱ひげ図」は,データを理解するときによく使います。
たとえば,人気投票による音楽のランキングでは,楽曲ごとに投票した人たちのねんれいを箱ひげ図で表し,それらをかくすることで「人気が若い人にかたよっている」「全世代でまんべんなく人気」など,各楽曲の人気のちがいがわかり,データの理解が深まります。
また,データのけいこうを理解し,いっしょに仕事をしているメンバーにその内容を伝えるときは,棒グラフやヒストグラム,箱ひげ図を使います。
種類のちがいや区別を表すデータであれば棒グラフ,数量のデータの分布を見るときには箱ひげ図やヒストグラムを使うなどして,データの種類によって使い分けています。

インタビュー
資料0

プログラムを使って作成された箱ひげ図。

O君

箱ひげ図からさまざまなデータの傾向を理解できるんですね。
ほかにも,箱ひげ図が役立つ場面はありますか。

データをまちがって読み取ってしまわないようにするためにも役立ちます。
平均だけでデータを判断するのではなく,四分位数や四分位範囲に着目することで,データをより正確に読み取ることができます。
たとえば,政府統計で日本の平均年収をみると,日本人の多くがその額かせいでいるようにも思えます。
しかし,実際は分布が偏っていて,平均年収は一部の高収入の人に引っ張られていたとわかります。
そこで最頻値を読み取ると,実は多くの日本人の年収は平均より低い人が多かったということがわかります。
さらに,箱ひげ図なら,男女別や年齢別,国別などの年収を比較するときにもデータを比較しやすく便利だと思います。

インタビュー
資料0

作成した箱ひげ図を使って,メンバーにデータの傾向を伝える。

O君

箱ひげ図は複数のグループを比べるときに,平均だけではわからないことも比較できるので便利なんですね。ほかには,どんな場面で数学を使っていますか。

統計学は社会学や経済学,心理学といった文系から生物学や情報科学,物理学といった理系まで,はば広く様々な分野で研究され,発展してきた学問なので,同じ分析のしかたでも各学問でその方法の使われ方や計算アプローチが異なっていたりします。
連立方程式や一次関数,確率など中学校で学習する様々な数学の知識をもっていることで,共通している部分や各分野の考え方のちがいを理解することができ,視野を広げることができると思います。

インタビュー
O君

中学生のころ,数学は好きでしたか。

得意な科目だったので好きでした。
数学は,答えが決まっているので,答えにたどり着いた達成感がやる気を出させてくれて,またそのことが楽しいと思えました。
でも実は,統計分野である確率はもともと得意ではなかったんです。
数学は手法と計算がわかっていても,問題文を読解する力も必要なため,特に読み取りが必要になる確率は難しいと感じていました。

インタビュー
O君

全国の中学生にメッセージをお願いします。

今や,統計データだけではなく,インターネットで最新ニュースや生活に役立つ情報などが簡単に手に入る時代です。
また,SNS(Social Networking Service) などで世界中のだれでも簡単に情報発信ができる時代です。
どんな情報でも,その情報が正しいかどうか判断できる力を身につけてほしいと思います。

インタビュー
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受け取ったアンケートのデータ結果を分析する光廣さん。パソコンのディスプレイには,箱ひげ図が表示されている。

取材レポート

今回の取材では,光廣さんやほかの社員のみなさんが働いている仕事場を見学させていただきました。
静かなかんきょうで100名以上の方がパソコンに向かい,もくもくとデータを分析している様子から,分析作業の大変さが伝わってきました。
光廣さんは,会議室のモニターに箱ひげ図を映し出しながら,ていねいにデータ分析について説明してくださいました。
ふだんの生活のなかで見かけることの少ない箱ひげ図ですが,データ分析の専門家である光廣さんの説明のおかげもあり,その意義を実感できました。

レポート写真

取材中,箱ひげ図の意味についてしんけんに語る光廣さん

データサイエンティストの数学に

チャレンジ

データサイエンティストのあなたは,A社のアイスクリームを買った人の年齢の傾向について分析し,説明することになりました。そこで,バニラ,チョコレート,抹茶の3種類の味について,ある1週間に買った人の年齢を調べて箱ひげ図に表したところ,次の図のようになりました。あなたは,この図をもとに,A社にどのようなことを説明しますか。

問題