前線を三次元で見てみよう

前線面のようすを可視化する

大気シミュレーションによって可視化した映像から,前線と前線面との関係を見てみよう。

大気シミュレーションによって,2017年2月19日の18時から21日の6時の間の日本上空の大気を再現しました。この時の前線は,東に通過しながら発達しています。

  • 2017年2月19日21時の天気図
  • 2017年2月20日3時の天気図
  • 2017年2月20日9時の天気図
  • 2017年2月20日15時の天気図
  • 2017年2月20日21時の天気図
  • 2017年2月21日3時の天気図

冷たい空気のかたまりと暖かい空気のかたまりの境目が前線面,前線面が地表と交わるところが前線です。

天気図に見られる前線からは地上のようすしかわかりませんが,この映像からは,前線面の空間的な構造をつかむことができます。


「3Dモデルで見る前線面」では,暖かさと湿り具合を組み合わせた温度を示す量(相当温位)に基づく,水色の曲面が描かれています(注)。これが前線面を表します。


「横浜のようす」「大阪のようす」の2つの映像を比べると,前線の通過時間が違うことがわかります。


(注)相当温位の単位

絶対温度を表す K(ケルビン)が用いられます。絶対温度 $T$〔K〕は,セルシウス度 $t$〔℃〕との間に,次の関係があります。

$T = t -273.15$

「3Dモデルで見る前線面」で描かれている水色の面は,285 K の相当温位の面です。

前線の3D動画は,数値シミュレーションの結果をもとに,AVS/Expressで可視化しました。
前線を衛星写真の視点で見るのではなく,真横(太平洋側)南東上空から見ることで,前線面のようすが捉えやすくなったと思います。
(山内隆介・筆保弘徳・古田隆行)