2023.7.7
イタリアのフリウリ=ヴェネツィア・ジュリア州(Friuli-Venezia Giulia)にパルマノーヴァ(Palmanova)という都市があります。
パルマノーヴァは,16世紀末に当時のヴェネツィア共和国によって作られた要塞都市として知られていますが,形状が特徴的で星型をしています。
周囲は正九角形の城壁で囲まれていますが,これは周辺の国々や勢力からの侵攻を防ぐためにヴェネツィア共和国主導のもと,建築家のヴィンツェンツォ・スカモッツィ(Vincenzo Scamozzi;1548-1616)が計画して建築したそうで,ルネサンス期における理想的な要塞都市と評されています。
中心地は正六角形をしており、イタリアにある多くの都市と同様に広場(piazza)になっています。
では、パルマノーヴァはなぜ星型をしているのでしょうか?おしゃれだから?
いえ、この形には軍事的な理由がちゃんとあるのです!
ズバリ「死角をなくすこと」。それぞれの張り出した角は、大砲を置く「稜堡」と呼ばれていますが、円形の稜堡に比べて、角の稜堡は死角がなくなり、隣同士の稜堡を援護しやすいメリットがあります。
なお、イタリアに限らずヨーロッパの各地には、このような図形的に特徴的な形をした都市がたくさんあるようです。
ちなみに、日本にも西洋の技術を取り入れた有名な城郭がありますね。
そう、北海道・函館にある「五稜郭」です。こちらも五つの角をもつ防衛機能の高い城郭です。
こんなふうに、建築の歴史的背景やルーツをたどると、旅行も楽しくなるかもしれません。