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算数・数学な日々:日常生活の中にひそんでいる算数や数学的な事柄を編集部員が紹介します。算数・数学な日々:日常生活の中にひそんでいる算数や数学的な事柄を編集部員が紹介します。

2013.11.21

関数アイコンワインの質が数式でわかる!

育成期のブドウ樹

本日,ボジョレーヌーヴォーが解禁されました。まだ飲んでいないのですが,楽しみです。

最近,好んでワインをよく飲んでいるのですが,ワインと数学には何か関係がないか調べてみたところ…





興味深い数式を発見しました。


アメリカのニュージャージー州にあるプリンストン大学で経済学を研究しているオーリー・アッシェンフェルター教授が,ある年のワインの質が次式で決定されることを導き出したそうです。

ワインの質A=12.145+0.00117×冬の降雨量+0.0614×育成期平均気温Y0.00386×収穫期降雨量Z

(北半球:冬期間10月〜3月,収穫期8月〜9月,育成期4月〜9月)

この数式から,質の高いワインは冬の降雨量が多くてその年の気温が高く,かつ収穫期の降雨量が少ない年にできるということが読みとれます。


試しに,世界的に有名なワイン産地であるフランスのボルドーの気象統計をもとに,2000年代のワインの質 A を数値化してみました。

収穫年 冬の降雨量
X〔mm〕
育成期平均気温
Y〔℃〕
収穫期の降雨量
Z〔mm〕
ワインの質
A
ヴィンテージチャート
赤ワイン 白ワイン
200048718.36913.5720744
200192617.89013.9739433
200227717.314312.9793333
200346119.86813.6376143
200448718.112213.3552133
200528418.77013.3552654
200659119.117013.3530133
200748617.912113.3456233
200839917.314913.0989144
200948817.98313.4946455

数値化されたワインの質 A をいわゆるヴィンテージチャート(ワインの品質を生産地区,生産された年によって評価した数値結果。5段階評価)と比較してみると,その傾向は必ずしも一致していないようです。

その要因として,ワインの原料となるブドウは,例えば同じ年のボルドーで収穫したものであっても畑や区画によって出来が異なりますし,ワイン自体の味わいには作り手のさまざまな思いが込められており,それは数値化できないものなのかもしれません。

なお,この数式は,ワイン評論家の仕事そのものにも影響しかねないため,上式が発表された当時(1984年)はワイン関係者から少なからず批判を受けたようです。


とはいえ,ワインの生産にはブドウの収穫後月日が必要です。

この数式によって,ワインができる前にそのおいしさを予測できるため,この数式をもとに,次回購入するワインを検討してみるのはいかがでしょうか。


関連する教科書紙面

数学の世界1年 p.62,p.63

数学の世界1年 p.62,p.63