体育大会などで行われるリレーでは,バトンパスがとても重要です。ここでは,関数のグラフを使って,バトンパスについて考えてみましょう。
右下の図のように,走者A が次の 走者B にバトンパスをします。Bがスタートする瞬間を0秒,そのときのBの位置を0 mとして,$x$ 秒後の走者の位置を $y$ mとします。
Bはスタートしてからどんどん加速していきます。ここでは,1秒後に 1 m,2秒後に 4 m,3秒後に 9 mと進むとすると,$x$ と $y$ の関係は $y=x^2$ で表せます。
一方,Aは,ほぼ一定の速さで走ってくると考えられます。3 m 手前から1秒間に4 m ずつ進むとすると $x$ と $y$ の関係は1次関数の式 $y=4x−3$ で表せます。
これらの式をグラフに表すと,左下のようになります。このグラフでは,バトンパスが行われる位置がグラフの交点として表されています。
ところで,バトンパスでは,Aができるだけ手前にいるときにBがスタートするほうが有利です。上の例では,Bがスタートするとき,Aが最大で何m離れた位置までであれば,バトンパスを行うことができるでしょうか。Aのグラフの切片を変えて,グラフをかいて調べてみます。
2枚の定規を使って、$y=4x−3$ のグラフと平行な直線を動かして考えると,$y=4x−4$ のとき,$y=x^2$ との交点が1つになります。これは,Bがスタートして2秒後に 4 m進んだ地点でバトンパスができます。しかし、$y=4x+b$ で,$b < −4$ のとき,$y=x^2$ とは交わりません。したがって,走者Aが最大で 4 m離れた位置までであれば,バトンパスができることが,グラフからわかります。