選挙のニュースなどで「出口調査」ということばを
聞いたことはありますか。出口調査は,テレビ局などの
報道機関が,有権者の投票行動や政治に対する意識を探るために行っている調査です。調査員が投票を終えた人に,投票した候補者,支持する政党,重視する政策などを,投票所の「出口」で尋ねます。調査の質問は,報道機関
ごとに決めています。そして,出口調査の結果に偏りが
出ないように,一定の間隔をあけて投票者に質問したり,専門の企業に調査を依頼したりするなど,工夫をしています。
さて,2021年の衆議院議員選挙では,テレビ局の出口調査が,実際の選挙結果とはかなり異なっていたと話題になりました。次の表は、6つのテレビ局の出口調査の結果です。しかし,実際は自民党が261議席,立憲民主党が96議席でした。
自民党 | 立憲民主党 | |
---|---|---|
A局 | 238 | 114 |
B局 | 243 | 113 |
C局 | 239 | 115 |
D局 | 240 | 110 |
E局 | 230 | 130 |
F局 | 212~253 | 99~141 |
集団の一部を,できるだけ偏りなく抽出しているのに,なぜこんなにも予想が外れてしまったのでしょうか。
さまざまな理由が考えられると思いますが,その一つの要因として,「声をかけた人全員が,協力してくれるとは限らない。」ということがあげられます。いくら無作為に抽出しても,協力の可否で結果が変わります。
また,支持する政党によって,自分が支持する政党を公にする人の確率も異なるそうです。有名
なのは,2016年のアメリカ大統領選挙。出口調査では,ヒラリー候補が当選する予想でしたが,
結果は大きく外れて,トランプ候補が当選しました。これは,トランプ候補の支持者の中に,
「自分はトランプ候補を支援する」と言わない人が多くいたためと考えられています。