くじ引き民主主義

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くじ引き

 標本調査で学習した無作為に抽出する方法は,くじ引きなど日常生活の中でも多く利用されています。
 くじ引きは,福引きや宝くじなどもふくめて,生活のなかでも多く目にするのではないでしょうか。意外に思うかもしれませんが,くじ引きは,裁判,選挙,政策決定などの場面でも活用されています。
 裁判には「裁判員制度」というものがあります。地方裁判所で行われる刑事事件の裁判に,一般市民が裁判員として参加する制度です。裁判員は選挙権を持つ人の中から,くじ引きで選ばれることになっています。
 また,公職選挙法では,選挙が行われたときに,得票数が同数だった立候補者のうちから当選者を決めなければならない場合は,くじ引きで決めると定めています。
 さらに最近では,くじ引きで選ばれた住民が議会に参加し,政策決定に関わる取り組みを試みている自治体もあります。選挙によって選ばれた代表者だけでなく,世間の人々の意見を広く直接的に取り入れるための仕組みとして注目され,「くじ引き民主主義」とも呼ばれています。

くじ引き

東京の武蔵野市では,くじ引きによって選ばれた住民が,気候変動への対策を話し合いました。

武蔵野市では,住民基本台帳の中から無作為に選ばれた市民1500人に案内を
送ったよ。承諾した41人と,公募で参加を希望した27人で会議をしたんだって!
武蔵野市全体の年齢層や男女比,居住地の割合に近づくように考慮されているよ。

オーくん

 また,ドイツやフランスでも,政策を検討する会議にくじ引きで選ばれた住民を参加させる取り組みが行われています。くじ引き(無作為抽出)によって選ばれた住民の意見を聞くことで,標本調査のように母集団である住民全体の意見の傾向を推定することもできるのかもしれません。
 いずれの場合も,くじ引きによって無作為に抽出するということが重視されていることがわかります。中学生のみなさんも,あと何年かすると選挙権をもつようになります。くじ引きで選ばれて,市民の代表として,裁判や議会に参加することがあるかもしれませんね。

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