室町時代に書かれた「異制庭訓往来」という本のなかで,
「さっさ立て」という遊びが紹介されています。
小石がAさんの前に30個置いてある。Bさんは後ろを向き,
Aさんを見ないようにする。
Aさんは,「さあ」というかけ声をするたびに,2個か3個
の石を取っていく。2個取った石は右に,3個取った石は左に
置くものとし,30個全部を仕分ける。このとき,Bさんが,
Aさんのかけ声の回数だけで左右の石の数を当てる。
たとえば,かけ声が11回聞こえた場合を考えてみましょう。
2個取ったときのかけ声が x 回,3個取ったときのかけ声が y 回だとすると,
次の連立方程式ができます。
{x+y=11⋯①2x+3y=30⋯②
この連立方程式を解くと,x=3,y=8 となり,右の石は6個,左の石は24個ということが
わかります。
ところで,江戸時代の「勘者御伽雙紙」という書物には,この問題の解き方について
次のように書かれています。
声の数に 三 をかけて 三十三,そこから石の総数 三十 をひいた数 三 を二倍すると,
右の石の数 六 になる。
この解き方は,上の連立方程式を次のように解いたときと同じ考え方です。
声の数 | x+y=11 | (①) |
---|---|---|
3をかける | 3x+3y=33 | (①×3) |
石の総数をひく | −)2x+3y=30 | (②) |
x=3 |
右の石の数は,3×2=6(個)