私たちは,小学校から中学校までの9年間で,図形の性質の基礎を学びます。
図形の研究は現在も続いていますが,どのような研究が行われているのでしょうか。
16世紀に,ポルトガルのマゼランは世界一周の航海をすることに成功し,これによって地球が丸いということが証明されたといわれています。しかし,世界一周できたということは,本当に地球が丸いということの証明になっているのでしょうか。
たとえば,地球が浮き輪のような形をしていても,世界一周の航海をすることができます。地球が浮き輪ではなく球であることを,宇宙から見て確かめるのではなく,地球の上で確かめることはできないのでしょうか。
このことは「トポロジー」という新しい幾何学(図形の学問)の考え方を使えば,理論的に確かめることが可能であるとわかっています。なお,私たちがこれまで学んできた幾何学は「ユークリッド幾何学」と呼ばれています。トポロジーなどは,これとは異なる新しい幾何学で,「位相幾何学」と呼ばれています。
トポロジーでは,図形の「形そのもの」ではなく,形の「つながり方」に注目します。球は,つながり方を変えることなく,ラグビーボールのようにもひょうたん型にも変形できますが,穴を開けたりつなぎ直したりしない限り,浮き輪の形にはなりません。このことから,球とひょうたんはつながり方が同じ,球と浮き輪はつながり方がちがうものと見るのです。