次の証明は、「すべての三角形は二等辺三角形である」ことの証明です。
[証明]
∠Aの二等分線と辺BCの垂直二等分線との交点をDとする。
また,辺BCの垂直二等分線と辺BCとの交点をEとする。
Dから辺AB,ACに垂線DF,DGをひくと,
△ADF≡△ADG ……… ①
△DEB≡△DEC ……… ②
①,②より,合同な直角三角形の対応する辺だから,
DF=DG,DB=DC
よって,
△DFB ≡ △DGC ……… ③
①より,AF=AG ……… ④
③より,FB=GC ……… ⑤
④,⑤よりAF+FB=AG+GC
したがって,
AB=AC
しかし,すべての三角形が二等辺三角形であるはずがありませんから,どこかがまちがっているはずです。
このおかしな「証明」は,どこがまちがっているのでしょうか。
「すべての三角形は二等辺三角形である」という結論が誤っているのは明らかなので,
証明の記述のどこかにまちがいがあるのではないかと探したかもしれません。
しかし,ここでまちがっているのは,証明のためにかいた図です。
証明の図の△ABCでは,実際には点Dは△ABCの外部にあり,点Fは辺ABの辺の上,点Gは辺ACの延長上にあります。
図形の問題を考えるうえで,図はとても有効です。正しい図をかくことを心がけましょう。