私たちが計算に使っている+,-,×,÷の記号や x,y などの文字は,どのようにして
生まれたのでしょうか。
加法の記号「+」は,15世紀のドイツで使われ始めました。
もともとは,ラテン語の「et」(英語の「and」にあたることば)を使って,「3et5」のように書いていたものが,徐々にくずれて+に
なったといわれています。
一方,減法の記号「-」は,minus(マイナス)の頭文字 m が
徐々にくずれていったものといわれています。
乗法の記号 「×」 は,17世紀にイギリスの数学者オートレッド (1574~1660)が使いましたが,当時のヨーロッパではあまり
ひろまりませんでした。
ドイツの数学者ライプニッツ(1646~1716)は「私は乗法の記号として×を好まない。それは容易に x と混同するからである。」と述べ,「×」の代わりに「・」を使いました。この「・」は現在でも使われていて,高校の数学で登場します。
除法の記号「÷」は,スイスの数学者ラーン(1622~1676)が使いました。一方,
ライプニッツは,除法の記号として「:」を使いました。現在でも,ドイツなどでは除法の
記号として「:」が使われています。
「:」は,日本のように
比の記号として使ってい
る国もあるよ。
数の代わりに文字を使うことは,古くから行われていました。たとえばインドでは,色の名前を
表すことばの頭文字(ka(黒),ni(青))などを,数を表す文字として使っていました。
ヨーロッパでは,フランスの数学者であり哲学者でもあるデカルト(1596~1650)が a,b,c,x,y,z などの文字を使い,現在の文字式に近い形をつくりました。
このように,わかりやすく,簡潔な表し方が発達したことで,数学がより発展していったのです。