地震が発生したとき,大きな揺れが来る前に,テレビやインターネットを使っていち早く地震が発生したことを知らせる「緊急地震速報」。日本は地震が多い国なので,緊急地震速報はとても大きな役割を担っています。この「緊急地震速報」はどのようなしくみになっているのでしょうか。
理科で学ぶように,地震の波には,初めに伝わる小さな揺れのP波と,後から伝わる大きな揺れのS波の2つがあります。P波は秒速約 7 km,S波は秒速約 4 kmといわれ,各地に被害をもたらすような強い揺れは主にS波であるといわれます。「緊急地震速報」のしくみは,速く伝わるP波を全国に設置された地震計によって検知し,これをコンピュータで解析することにより震源や地震の大きさを瞬時に計算で求め,大きな揺れのS波が到達する前に注意を呼びかける,というものです。このコンピュータでの解析の部分に,関数の考えが活かされています。
たとえば,いくつかの観測地でP波の揺れを検知したとき,それぞれの場所でP波の到達した時刻を利用して,まず震源がどこであるか,いつ地震が発生したかを知ることができます。次にそれをもとにして,ある場所にS波が到達する時刻を,関数の考えを使って予測することができます。