vol.26 - No.3 (2024年5月1日)

私が教員として就職した翌年まで暮らしていた家は、小学生のころまで山と畑と田んぼに囲まれ、道沿いに点々と家が立ち並ぶだけのよく言えば自然が豊かなところでした。その時から半世紀ほどたって、今では何棟ものマンションと高齢者住宅や高齢者施設がならび、その隙間を一般住宅が埋めるといった、都会のようとまでは言えませんが自然が少ない場所になってしまいました。そんな実家の隣の家は、このあたりで唯一50年前と変わらぬ姿で、背中には竹林や雑木林を背負った自然が残る場所のままです。そんな自然が残る場所だからでしょうか、その家の離れのような小さな古い平屋の床下にニホンミツバチが巣を作ったのです。家人は昨年の春ごろから、ハチが出入りしていることに気づいていたのですが、数が少なかったのでそのままにしていました。しかし、今年になって出入りするハチの数が極端に増したようです。雨が続いた後の晴れた日には、入口にあふれるようにハチが群れていたり、たくさんのハチが飛びまわったりするようになり、怖くなった家人がセイヨウミツバチを飼育している私に何とかならないかと相談してきました。ニホンミツバチの群れを手に入れることができるばかりでなく、撮影もできるチャンスです。そこで、相談された私は、何とかすることを引き受けました。早速ニホンミツバチ用の飼育箱を養蜂器具業者から取り寄せました。古家の近くに巣箱を設置し、4月の中旬から6月になるまでに起こる分蜂(ぶんぽう:巣別れすること、分封とも書く)群を呼び込めればラッキーです。それができなくても、分蜂して木の幹などに集結して球のようになっていれば、網で捕らえて巣箱に入れることができます。そのどちらかで手に入れようと思っています。さてどうなることか、次回の「おおきくなあれ」原稿を書くころには結果が出ていることでしょう。

さて今回は、4月から5月にかけて花を咲かせる、とても面白い名前のジロボウエンゴサクが育つようすを紹介します。今月と来月の2回に分けて紹介します。