vol.22 - No.09 (2020年8月1日)

生き物を育て撮影をする活動をしていると、何泊もの旅行はなかなかできません。数年前までは、いろいろな生き物を飼っていたので旅行をすることは年に数回でした。最近は飼育する生き物を減らしたり、飼育する期間を短くしたりして、旅行に行く機会を何倍にも増やしていました。ところが、今年はもうおよそ半年、一度も旅行に行くことができていません。そこで、いろいろな昆虫を育てることを再開しました。そんな折、ヘクソカズラの葉を食べているスズメガの幼虫を見つけました。そこで持ち帰り、成虫になるまで育てることにしました。幼虫は無事成虫となり、羽の形などからホシヒメホウジャクと確認することができました。その成虫がオスかメスかを調べていた時のことです。網戸の隙間からものすごい勢いで飛び込んでくる何かに気づきました。何だろうかと行く先を見たのですが見つかりません。しかし、その直後、その何かが戻ってきて、いきなり観察していたホシヒメホウジャクに飛びつき、その背中にしがみつきました。私がヘクソカズラの葉を差し出すと、逃げることもなくそこに乗り移り、なんと交尾を始めたのです。飛び込んできたのはホシヒメホウジャクのオスでした。幼虫を捕まえたのは家からずっと離れた場所なので、庭にホシヒメホウジャクがたくさんいるわけではありません。フェロモンという特別な臭いによるものなのか、超音波のような特別な信号によるものなのか、いづれにしても部屋の中のメスの存在を察知して飛び込んできたオスの行動には驚かされました。生き物の世界の不思議には、魅力がいっぱいです。

さて今回は、6月7月が花の咲く時期のネムノキが育つようすを紹介します。